取引・カストディ・融資機能を単一インターフェースで提供
暗号資産(仮想通貨)取引所の「Kraken(クラーケン)」は3日、機関投資家向けのフルサービス型プライムブローカレッジ「Kraken Prime(クラーケン・プライム)」の提供を開始したと発表した。取引、カストディ、ファイナンスの各機能を統合したプラットフォームで、高まる機関投資家のニーズに応える。
クラーケン・プライムは、資産運用会社やヘッジファンドなどの機関投資家に、仮想通貨市場での取引や資産管理を効率的かつ安全に行える環境を提供することを目的としている。市場では、規制の明確化やインフラの整備が進みつつあり、これを背景に機関投資家の参入が増加している。クラーケンは、こうしたニーズの高まりを受け、より高度で一体的なサービスの提供が必要と判断し、本サービスを立ち上げた。
同プラットフォームは、世界20以上の取引所からなるネットワークを通じて、仮想通貨市場全体の90%以上の流動性にアクセスできる。また、米国の州認可銀行である「Kraken Financial(クラーケン・フィナンシャル)」が管理するカストディ口座から直接取引することが可能で、安全性と即時性を両立している。
さらに、資産担保融資やT + 1(取引日の翌営業日)での信用供与にも対応し、顧客の多様な資金調達ニーズを支える。独自開発のスマートオーダールーティングシステムにより、プラットフォーム内外の流動性を統合する機能も備えており、これらのサービスはすべて統合されたインターフェースから利用できる。
クラーケンは、本サービスを通じて高いパフォーマンス、信頼性、制度対応力を備えた取引基盤を提供するとしている。24時間365日対応の専任アカウントマネジメントチームが顧客を支援し、機関投資家が求める水準のサービスに対応する体制を整えている。
同社の共同CEOであるデイビッド・リプリー氏は、「クラーケン・プライムは、機関投資家が期待する品質とサービス水準に応えるために設計された。我々のインフラは複数の市場サイクルで実証されており、その堅牢性と専門性を、今回のサービスに注ぎ込んでいる」と述べた。
また、「クラーケン・プライムの強みは、品質、信頼性、一貫性を重視している点にある。我々は、伝統的金融の基準を超えるサービスを提供することを目指している」とも語り、同サービスにかける姿勢を強調した。
クラーケン・プライムの提供開始は、個人投資家中心だった仮想通貨業界において、制度的な投資家の取り込みが進みつつあることを象徴している。規制順守、流動性アクセス、運用支援といった機能が揃ってくれば、従来の金融と同様にプロフェッショナルな資金が流入しやすくなる。市場構造の変化が加速する転換点と見ることもできる。
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