フルスタック流動性エンジンを構築
先進的DeFi(分散型金融)プロトコルの「Glow Finance(グロウ・ファイナンス)」は14日(米国時間)、Solana(ソラナ)での正式ローンチを発表した。
グロウ・ファイナンスが掲げる「フルスタック流動性エンジン」は、借入・貸付にとどまらず、DEXアダプターを通じてJupiter(ジュピター)等と接続し、さまざまなDeFi戦略を単一のアカウントでまとめて運用する構想である。ようするに「資本効率を上げたい」ということだ。ソラナは高速処理で知られており、そのチェーン上でコンポーザブルなマージンアカウントやリキッドリステーキングトークン(LRT)である$glowSOLを併用する取り組みは、かなり先鋭的といえる。Ethereum(イーサリアム)上のConcrete(コンクリート)で実績を積んだチームがプロトコルを運営し、総ロック額(TVL)6億5,000万ドル超という点も評価に値する。ただし、機能が豊富なぶん複雑であり、初心者にとっては少々敷居が高い。
初期発表で使われた「担保なし」(Undercollateralized)という用語は、その後のプロトコルの詳細説明と照らし合わせると、かなり注意が必要だ。プロトコルの「マージンアカウント」の項では、預け入れた資産が担保として活用されることが明記されている。つまり、「担保なし」という表現は、伝統的な意味での「無担保ローン」ではない。FXでいう「レバレッジ」のことだ。みんな大好きFXのアレだ。界王拳もといレバレッジを活用することで「担保価値を超える実質的な借入能力」すなわち「高い資本効率性」を発揮できることを拡張的にアピールした、マーケティング上の方便と考えた方がよい。これは、プロトコルのリスクを評価する上で無視できない論点だ。
「Jet Protocol(ジェットプロトコル)」を「基盤から再構築」したという事実は、単純な買収ではなく「ソラナで理想の形を作り直す」という意図の表れである。担保資産をレバレッジに回し、リステーキングで得た報酬を再び担保に活用する手法は、高い利益を狙えるがリスクも大きい。しかし、そうした挑戦的な仕組みこそがDeFiの魅力だ。グロウ・ファイナンスは高度なユーザー向けを想定しており、積極的なトレードを好む層には支持される可能性が高い。
DeFiはハイリスク・ハイリターンの世界であるため、CEXの感覚で安易に利用すると手痛い損失を被るおそれがある。一方、ソラナの高速性やSVMを含むエコシステムを包括しようという構想は魅力的だ。今後はソラナだけでなくFogo(フォゴ)やAtlas(アトラス)といった新チェーンにも進出する計画があるようで、「SVM王国」を築こうという意欲もうかがえる。最終的にユーザーからどう評価されるかは、実際の利用状況次第ではあるが、青写真における大胆な戦略が成功すれば、ソラナにおける新たなハブとなる可能性も十分にあるだろう。
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