FTX債権をUSDCで売却、手数料ゼロの新サービス
暗号資産(仮想通貨)取引所「Backpack Exchange(バックパック・エクスチェンジ、以下バックパック)」は、経営破綻した仮想通貨取引所「FTX」の債権者を対象に、その債権の売却をサポートする新サービスを開始した。
このサービスを通じて、FTXの債権者は独立した機関投資家の買い手とつながり、債権を売却して対価をUSDCで受け取ることが可能になる。
バックパックが公開したサポートドキュメントによると、このサービスはFTXの国際部門(FTX International)に対して有効な破産債権を持つ個人を対象としている。利用者は、バックパックのプラットフォーム上で以下の手順を踏むことで、債権を売却可能だ。
- FTX債権ページの利用:バックパックにログインし、専用ページからFTXの公式債権ポータル(claims.ftx.com)の認証情報(メールアドレス、パスワード、認証アプリのOTP)を入力して債権を認証する。
- オファーの確認と受諾:買い手から提示された債権の買取価格を確認し、承諾する。
- 本人確認(KYC):政府発行の写真付き身分証明書、リアルタイムの自撮り写真、住所証明などを提出し、本人確認を完了させる。
- 契約と支払い:オンラインで債権譲渡契約に署名した後、買い手の署名を経て、通常24時間以内に売却代金がUSDCでバックパックアカウントに入金される。
なお、このサービスはバックパックがユーザーの利便性のために提供するものであり、同社が売買手数料を徴収することは一切ないとしている。
FTX破綻処理への継続的な関与
バックパックがFTXの破産処理に関与するのは、これが初めてではない。同社は2025年1月、FTXの欧州部門である「FTX EU」を買収。その後、旧FTX EUの顧客を対象とした債権請求プロセスを開始している。
今回の新サービスは、その対象をFTX EUの顧客だけでなく、より広範な世界のFTX債権者へと拡大するものだ。破産手続きの完了を待たずに債権を現金化したいと考える債権者に対して、流動性を供給する「二次市場」としての機能を提供する。
2022年11月のFTX破綻以降、多くの債権者が資産の返還を待ち続けている。今回のバックパックによる手数料無料の売却サポートは、早期の資金回収を望む債権者にとって、重要な選択肢の一つとなるだろう。また、大規模な仮想通貨取引所の破産処理において、このような二次市場を通じた債権取引が、今後の新たな標準モデルとなる可能性も秘めているため、同サービスの利用状況については今後も注目したいところだ。
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