金融庁は26日、金融審議会「暗号資産(仮想通貨)制度に関するワーキング・グループ」において、暗号資産への金融商品取引法(金商法)適用に向けた報告案を提示した。
暗号資産の投資対象化が進む中、利用者保護の充実を図るため、金商法の規制枠組みを活用する方針を示している。
5つの重点事項で体制整備
報告案の提示と合わせ、日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)、日本ブロックチェーン協会(JBA)、日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)の業界団体は、より強固な体制整備と利用者保護強化のため、5つの重点対応事項を公表した。
第一に、利用者保護の徹底では、余裕資金を超える取引を防ぐため、取引・保有限度額を設定する顧客適合性の運用強化を図る。第二に、暗号資産審査の強化では、外部の第三者からなる中立的な暗号資産審査委員会を設置し、専門性のある評価・分析を実施する方針だ。
第三の不公正取引の審査強化では、JVCEAに売買審査担当者を設置し、会員暗号資産交換業者の取引データを基に売買審査を行う。JPX-Rの取組みを参考に業界標準の基準を策定し、証券取引等監視委員会とも連携する。
第四に、暗号資産の流出リスクに備えた対応として、セキュリティ情報共有機関と連携し、流出に備え責任準備金の積み立てを行う。第五の認定自主規制団体(JVCEA)の体制強化では、財務基盤を強化し、認定自主規制団体として必要な人員を確保する。
販売所誘導や情報開示の課題も指摘
報告案では複数の課題が指摘されている。販売所での取引に対する顧客誘導の懸念があがり、販売所形態の収益性が高いため、顧客を販売所での取引に誘導しているのではないかとの指摘だ。報告案では、最良執行義務の観点から検討すべきだとしている。
また、情報開示義務の強化も盛り込まれた。供給量や資金使途など、取引判断に重要な情報を利用者に提供することを求めている。今回の規制見直しは、暗号資産の投資対象化の進展や詐欺的な投資勧誘等が生じていることを踏まえ、暗号資産の特性に応じた金融商品としての規制を整備し、利用者保護の充実を図るものとなる。
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