東証グロース市場上場のイオレ(2334)は25日、個人向け暗号資産(仮想通貨)レンディングサービス「らくらくちょコイン」の事前登録受付を開始したと発表した。2026年1月下旬の正式サービス開始を予定しており、 事前登録者限定で2026年4月まで貸借料率13%を適用する。
BTC保有を活用した運用体制
同社は2025年10月から積極的な
BTC購入を開始し、12月19日時点で101.57BTCを保有。約8週間で101BTCを積み上げ、総投資額は約16.6億円に達している。今回のレンディングサービス開始により、自社保有分と顧客預託分の両面でレンディング運用を本格化する。
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国内上場企業全体のビットコイン総保有量は約3.67万BTC(約5,016億円)で、全BTC供給量の約0.18%を占める。イオレは中期経営計画で2026年3月期中に120〜160億円規模のビットコイン取得を目標に掲げており、今後もトレジャリー戦略を加速させる方針だ。
Neo Crypto Bank構想の第一歩
同社は2025年8月に公表した中期経営計画で暗号資産金融事業を中核に位置づけ、10月には「Neo Crypto Bank構想」を発表。資産を「取得→運用→事業活用」へと循環させる次世代金融プラットフォームの構築を段階的に進めており、今回の「らくらくちょコイン」はその具体的な実装フェーズへの移行となる。
同構想では、DAT(デジタルアセットトレジャリー)による暗号資産の取得・保有、DAL(デジタルアセットレンディング)による貸出運用、DAM(デジタルアセットマネジメント)による収益化を順次展開し、将来的にはウォレットや決済機能と連携したスーパーアプリの提供を目指している。
サービスの特徴
「らくらくちょコイン」は、利用者が保有するビットコインや
ETHなどの暗号資産を貸し出すことで、期間に応じた貸借料を得られる仕組み。約1万円相当から預け入れ可能で、30日経過後はいつでも7営業日以内に返還を受けられる。
同社は複数の運用実績を持つ提携先に分散して運用することでリスクを抑制。機関投資家向けに実績を持つFireblocks社のセキュリティ基盤を導入し、国際水準の暗号資産管理体制を構築している。テスト運用段階でも一定の収益性を確認済みという。
サービス正式開始を記念し、2025年12月25日から2026年1月25日までに事前登録した利用者限定で、サービス開始から2026年4月までの貸借料率を13%とするキャンペーンを実施する。
暗号資産レンディングは現時点では暗号資産交換業者としての登録は不要とされているが、金融庁が2025年12月10日に公表した「暗号資産制度に関するワーキング・グループ報告書」では、今後は金融商品取引法の規制対象とすることが検討されている。同社は制度改正動向を注視し、適切な体制構築のもと事業を推進するとしている。
2026年3月期への業績影響は軽微と見込まれるが、中長期的には企業価値向上に資するものと位置づけている。




