エルサルバドルが「ビットコイン銀行」の設立を計画していることがわかった。発表は8日、同国のビットコインオフィスの公式Xによって行われたが、銀行の具体的な仕組みやサービス内容、設立時期などの詳細については現時点で明らかにされていない。
ブケレ政権下で進む仮想通貨政策の一環
エルサルバドルは2021年にビットコインを法定通貨として採用(現在は撤回)して以来、暗号資産(仮想通貨)分野への投資を積極的に行ってきた。同国は、ナジブ・ブケレ大統領の下、国家によるビットコインの積極的な購入・蓄積、マイニング拠点の整備、観光促進プロジェクト「ビットコイン・シティ」構想などを進めている。
これらの政策に伴い、エルサルバドルは中米では小規模な経済圏ながら、国家によるビットコイン保有量で世界第7位に位置している(出典:Bitcoin Treasuries)。これは米国や中国などの主要国に続く順位であり、国の経済規模と比較すると異例の水準といえる。

仮想通貨を中核とする銀行制度は、金融の構造そのものに変化をもたらす可能性を秘めている。ただし、信頼性と安定性を伴わない制度設計では、国家経済にリスクをもたらしかねない。ビットコインを活用することと、既存の金融基盤を補完・拡張することを両立させるバランス感覚が不可欠である。エルサルバドルの取り組みは、小国による挑戦であると同時に、グローバル金融の将来像を問う実験でもある。
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