分散型取引所(DEX)「dYdX」は14日、コミュニティがプロトコル収益の分配構造を根本的に見直す提案を承認したと公式Xで発表した。これにより、純収益の75%がガバナンストークン「DYDX」の買い戻しに充てられることとなり、同プロトコルはトークン経済の安定化と価値向上を最優先にする方向に舵を切った。
メガボールト分配縮小、資金効率改善を目指す動きも
今回の動きの背景には、リサーチ企業「Nethermind Research(ネザーマインド・リサーチ)」による提言がある。同社の詳しい調査報告書では、特に流動性提供プログラムである「メガボールト」の費用対効果が極めて低いことが指摘されており、その分配率を大幅に削減するよう推奨されている。
コミュニティはこの提言を受け入れ、投票を実施。投票率は59.89%となり、賛成率59.38%で提案が可決された。これにより、プロトコルの取引手数料などから得た収益の分配比率が以下のように見直されることとなった。
- 買い戻しプログラムへの分配:(旧)25%→(新)75%
- メガボールトへの配分:(旧)25%→(新)5%
- 財務サブ組織への分配:(旧)10%→(新)5%
サマリーには明記されていないものの、残りの15%は提言で触れられた「ステーキング参加者への報酬」に充てられる可能性がある。調査報告書では過去1年で利回りが低下していたにもかかわらず、ステーキング参加者が減少していない点が強調されており、従来の40%から配分縮小をしたとしても大きな問題は生じないとみられているようだ。
DYDXは執筆時点で0.30ドル付近で停滞しており、直近の急落から回復できていない。しかし、新たな収益配分で買い戻しが強化されたことで、今後のDYDXの売り圧力緩和や市場心理の改善につながる可能性がある。

従来のように効率の低い施策への収益分配を縮小し、価値形成に資する用途へ集中させたことで、dYdXの運営方針は明確になった。今後の市場反応と実際の価格動向が、この方針転換の成果を測る指標になるかもしれない。
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