分散型金融(DeFi)プロトコル大手「アーベ(Aave)」を開発するアーベ・ラボは23日、サンフランシスコ拠点のフィンテック企業「ステーブル・ファイナンス(Stable Finance)」を買収したと発表した。今回の買収により、アーベはDeFiにおけるコンシューマー向け製品の開発を加速させる方針だ。
ステーブル創業者がプロダクトディレクターに就任
買収の一環として、ステーブル・ファイナンスの創業者マリオ・バクスター・カブレラ氏がアーベ・ラボのプロダクトディレクターに就任する。また、ステーブル・ファイナンスのエンジニアリングチーム全員もアーベ・ラボに加わる。
アーベ・ラボ創業者のスタニ・クレチョフ氏は「金融の未来はオンチェーンにあると信じている。今回の買収は、オンチェーン金融を日常的な金融──利息獲得、借入、貯蓄──に変えるという当社のコミットメントを強化するものだ。マリオとステーブルチームは、シームレスなユーザー体験を支える独自の技術を構築しており、当社のコンシューマーロードマップを加速させ、アーベプロトコルを新しいユーザーに拡張するのに役立つ」とコメントしている。
銀行口座から直接ステーブルコイン貯蓄が可能に
ステーブル・ファイナンスは、ステーブルコイン貯蓄を簡素化する無料iOSアプリ「ステーブルアプリ」を開発していた。同アプリでは、銀行口座、デビットカード、または暗号資産から簡単に入金でき、暗号資産のボラティリティなしにデジタルドルで利息を獲得できる。
低ボラティリティのオンチェーン利回りへのアクセスを容易にすることで、ステーブル・ファイナンスはステーブルコイン貯蓄商品に対する強い市場ニーズを実証してきた。
カブレラ氏は「アーベ・ラボは分散型金融の最前線にあり、このような強力なイノベーションと実行力の実績を持つチームに加わることができて興奮している。当社のコンシューマー製品の専門知識とステーブルコイン貯蓄への注力をアーベ・ラボにもたらすことで、より速くスケールし、次世代のユーザー中心の金融イノベーションに有意義に貢献できる」と述べた。
既存ステーブルアプリは段階的に廃止、技術は新製品に統合
ステーブル・ファイナンスチームは、アーベ・ラボでコンシューマー貯蓄アプリの開発を継続する。既存のステーブルアプリは段階的に廃止され、その技術は将来のアーベ・ラボ製品に統合される予定だ。
現在、ステーブルコインの総供給量は3,000億ドルを超えており、安定価値の貯蓄ツールへの需要は拡大し続けている。これにより、直感的でコンシューマー重視の製品がこれまで以上に重要になっている。
機関投資家向け「ホライゾン」は3億ドル超の預金を達成
アーベ・ラボは長年にわたり、数百万人が利用する弾力性のあるスケーラブルなインフラと、アーベユーザー向けの人気インターフェース「Aave.com」を構築することで、DeFiの基準を設定してきた。
同社は現在、次のフェーズに入っており、DeFiでの経験を基に、2025年8月にローンチし現在3億ドル超の預金を集める機関投資家向け製品「ホライゾン(Horizon)」のような強靭な製品と、アクセスしやすいコンシューマー製品の両方を構築し、個人と機関の両方にオンチェーン金融への幅広いアクセスを提供している。
アーベは2017年にETHレンドとして設立され、2020年にアーベプロトコルを立ち上げた。過剰担保型ステーブルコイン「GHO」や、急成長中の機関投資家向けプラットフォーム「ホライゾン」などのイノベーションで知られており、間もなくリリース予定のV4へのメジャーアップグレードも進行中だ。
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