デジタル資産トレジャリー(DAT)企業BitMine(ビットマイン)の会長を務めるトム・リー氏は16日、フォーチュン誌のYouTubeチャンネルに登場し、現在のDAT企業ブームについて、「すでにバブルは崩壊した可能性がある」との見解を示した。
多くのDAT企業の価値はNAVを下回っている
リー氏はかねてより、このDATブームについて「多くの企業は成功しないだろうが、いくつかは成功するかもしれない」という冷静な見方を示していた。そして今回、彼はさらに踏み込んだ発言をしている。
リー氏は、多くのDAT企業の価値(株価時価総額)がその保有する暗号資産の純資産価値(NAV)を下回っていることを根拠に、「測定方法によっては、すでにバブルは崩壊したのかもしれない」と指摘。
「もしそれがバブル崩壊でないとするならば、どうすればバブルは崩壊するというのか?」と彼は問いかけ、「DAT企業は、保有する暗号資産の価値を下回って取引されるべきではない」との持論を展開した。もしNAVを下回る場合、企業は暗号資産を売却して現金で株主に還元するなどの行動を起こし、その価値を回復させることができるはずだと説明している。
成功しているDATはストラテジーとビットマインのみ
リー氏は、DAT市場がすでに「選別」の時期に入っていると分析する。
同氏によると、市場で成功を収めているのはストラテジーと、自身が会長を務めるビットマインの2社だけであり、この2社がDAT企業全体の取引ボリュームの86%を占めているという。
ビットマインは、世界最大のイーサリアム保有企業であり、その保有量は290万ETH(約120億ドル相当)に達し、イーサリアムネットワーク全体の約2.5%を占める規模となっているという。
一方でリー氏は、これらトップ企業以外の、約200社のDAT企業については厳しい意見を表明している。「多くのDAT企業は流動性が低く、『ETFを購入する』、あるいは『暗号資産を直接購入する』という選択肢と比較して、個人投資家にとっての明確なメリットが見出しにくい」という。
リー氏の見解は、ポジショントークの側面もあるものの、多くのDAT企業が現実の試練に直面している現状を示したものと言えそうだ。
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