チェコ国立銀行(CNB、中央銀行)は13日、世界の中央銀行として史上初となる暗号資産(仮想通貨)の購入を公式に発表した。外貨準備とは別に100万ドル(約1億5,500万円)を投じ、ビットコインを含むブロックチェーンベースのデジタル資産のテストポートフォリオを作成した。
実践的テストが目的
ポートフォリオは、ビットコイン、USDステーブルコイン、ブロックチェーン上のトークン化預金の3つで構成される。CNBは「暗号資産の保有に関する実践的経験を得ること、関連プロセスを実装・テストすることが目的」と説明。鍵の技術管理から危機シナリオ、AML(マネーロンダリング対策)コンプライアンス検証まで、一連のプロセスを実地で試験する。
この購入は2025年10月30日に理事会が承認した「他の資産クラスへの投資可能性分析」の議論を経て決定された。分析は、暗号資産が進化しており、ファンドや企業の投資資産に組み込まれつつあることを示している。
アレシュ・ミフル総裁は「私は2025年1月にテストポートフォリオのアイデアを提案した。当初は分散型ビットコインのテストと準備金分散化の評価が目的だったが、内部議論で決済の将来と資産トークン化へと範囲が広がった」と述べ、「約2〜3年後に経験を公表し、プロジェクトの全体評価を提示する」と明言した。
外貨準備への影響なし
テストポートフォリオの暗号資産は外貨準備から分離されており、為替介入能力や金融政策に一切影響を与えない。ポートフォリオの規模が僅少であることから、価格変動がCNBの財務業績に影響することもない。
総規模は100万ドルに設定されており、今後積極的に増やさない方針だ。ミフル総裁は「ビットコインの価値は大幅に変動する可能性がある。いかなる投資家も、重大なリスクを認識せずに購入すべきではない」と注意を促した。
CNBは同時に新プロジェクト「CNBラボ革新ハブ」を立ち上げた。将来の金融市場に影響を与える可能性のある技術とトレンドのテストを監督する目的で、暗号資産に加えAIツールや即時決済のイノベーション支援も実施する。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=154.70円)




