仮想通貨(暗号資産)市場は15日も引き続き弱含みだが、ビットコインに比べアルトコインはやや底堅い印象だ。昨夜はパウエル議長の講演の中でポジティブな発言があったものの、マクロ経済・地政学リスクの影響が大きく、市場の反応は限定的だ。
ビットコインは11万~11万6000ドルで推移、レンジ上限が抵抗に
ビットコインは日本時間14日早朝、11万6,000ドル到達を前に失速したが、直近安値の11万ドル付近で再度反発。しかし半値戻しの11万4,000ドル付近が抵抗になり、上値は重い。当面は11万ドル~11万6,000ドルのレンジ帯が意識されると分析できる。

清算ヒートマップを見ても11万6,000ドルよりやや上に大きめの流動性クラスターがあることから、この価格帯がレジスタンスとして意識されているのがわかる。また、11万4,000ドル付近にも大きなクラスターが存在しており、直近の抵抗帯として意識されていると分析される。今後強気相場に回帰するためには2つのレジスタンスを突破しなければならず、そのためにはインパクトの強い好材料が求められるだろう。

また、11万1,000ドル付近は直近のサポートとして意識されており、ここを明確に下抜けた際は、もう一段下の下落に注意だ。
アルトコイン底堅く推移、XRPは取引量減で上値重い
ビットコインが直近安値付近まで下落したのに対し、イーサリアムは半値戻し程度の下落に留まっており底堅い印象だ。すでに安値切り上げが確認されているため、このまま直近高値を上抜けられれば上昇トレンド再開と考えてもいいだろう。

また、ソラナもイーサリアム同様底堅く推移している。今月後半にソラナの現物型ETFが承認されるとの見方もあり、期待感からの買いが集まっていると考えられる。ただ、米政府閉鎖の影響で再度審査が延期される可能性もあり、失望売りによる一時的な急落リスクがある点は頭に入れておこう。

一方XRPは他の主要アルトに比べ上昇幅が弱く、下落幅が大きい。一応安値は切り上げているが、明らかに他銘柄と比べ勢いが弱い印象だ。

日足レベルで取引量を見てみると、イーサリアムに比べてXRPのボリュームが明らかに低下しており、市場からの関心が薄れているのがわかる。取引量の低下はサポート力の弱さにつながるため、ネガティブなニュースによる暴落に警戒しておこう。


パウエル議長が量的引き締め終了を示唆、米中摩擦で市場反応は限定的
連邦準備制度理事会(FRB)議長ジェローム・パウエル氏は15日午前1時20分から行われた講演で、「現行QT(量的引き締め)は終盤に差し掛かっている」と述べ、2022年から3年以上続いた量的引き締めの終了を示唆。今後量的緩和に移行すれば、市場の流動性が増加しリスク市場の活性化につながる可能性がある。また、講演の中で米雇用市場の弱さを強調したことで、追加利下げに対する期待も高まった。
実際、予測市場「Polymarket(ポリマーケット)」でも、年に3回・計0.75%利下げの予測が過去最高の79%を記録した。

しかし、利下げ期待の高まりとは裏腹に、仮想通貨市場は一時小幅上昇したのみと反応は薄い。背景としては14日、米中が互いの船舶に新たな港湾使用料を発動したことが影響していると考えられる。11日の仮想通貨市場暴落の要因が、ドナルド・トランプ米大統領による中国への追加関税発言だったこともあり、米中摩擦の長期化は投資家にとって大きな不安のタネとなっているようだ。
仮想通貨市場は大崩れしてはいないものの、米消費者物価指数(CPI)の延期など、材料不足もあり依然上値は重い。またポジティブなファンダに対する市場の反応も鈍く、米中摩擦が解消または緩和されるまではリスクオフムードは継続しそうだ。
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