仮想通貨を売らずに借入、課税リスクも軽減
大手暗号資産(仮想通貨)マーケットメーカー「DWF Labs(DWFラボ)」の共同創設者であるアンドレイ・グラチェフ氏は27日、仮想通貨を担保に法定通貨の融資を受けられる新しいプラットフォーム「Nex Meta(ネックス・メタ)」の立ち上げを発表した。
ネックス・メタは、ユーザーが保有する仮想通貨を担保として、法定通貨を含むあらゆる種類のローンを借りることができるサービスだ。
このサービスのメリットとして、グラチェフ氏は以下の2点を挙げている。
- 仮想通貨市場の成長機会を逃さない。法定通貨が必要になった際に仮想通貨を売却する必要がないため、将来的な価格上昇による利益を手放さずに済む。
- 課税イベントの回避。多くの国では、仮想通貨を売却して利益が確定した際に税金が発生する。しかし、担保として預け入れれば売却にはあたらないため、課税イベントを繰り延べることができる。
グラチェフ氏は、「このようなサービスを提供する新会社を、近日中に立ち上げる予定だ」と述べており、詳細は後日発表される見込みだ。
グラチェフ氏が率いるDWFラボは、世界で最も活発な仮想通貨投資会社の一つであり、マーケットメーカーとしても知られている。数多くのWeb3プロジェクトに対して投資や流動性提供を行っており、その動向は市場全体に大きな影響を与える。今回の発表は、市場の主要プレイヤーが仮想通貨を用いたレンディング・ローン分野に本格的に参入することを表明したものと受け取れるだろう。
なお、仮想通貨を担保としたローンは便利な反面、担保となる仮想通貨のボラティリティの高さが大きなリスクになるとされている。そのため、同種のサービスでは「借りたい金額よりも多くの価値を持つ仮想通貨を担保にする」といった対策がとられる。ただし、過剰な担保はユーザーの負担になるという側面もあるため、ネックス・メタがどのようなリスク管理の仕組みをとるのか、今後の発表が注目される。
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