2021年に政府が全面的な禁止措置を実施したにもかかわらず、中国におけるビットコインマイニング活動が静かに復活していることが明らかになった。ロイター通信が24日に報じた。安価な電力供給と一部地方におけるデータセンター建設ブームを背景に、個人および企業のマイナーが活動を再開している。
安価な電力とデータセンター余剰が地下マイナーを後押し
中国はかつて世界最大の暗号資産マイニング大国だったが、2021年に北京政府は金融安定性と省エネルギーへの懸念を理由に、暗号資産の取引およびマイニングを全面禁止した。この措置により、中国のビットコインマイニングシェアは一時ほぼゼロまで落ち込んだ。
しかし、マイニング活動を追跡する「Hashrate Index」のデータによると、2024年10月末時点で中国のシェアは14%まで回復し、米国などに次ぐ世界第3位の規模に戻っている。
復活の中心地となっているのは、エネルギー資源が豊富な新疆ウイグル自治区などの内陸部だ。ロイター通信の取材に応じた現地マイナーのワン氏(仮名)は、「多くのエネルギーは地域外へ送電できないため、暗号資産マイニングという形で消費されている」と述べた。
ワン氏はさらに、「人々は電力が安い場所でマイニングを行う」と語っている。禁止令というリスクよりも、安価な電力調達というメリットが優先されている現実が浮き彫りになった。
また、財政難に苦しむ一部の地方政府によるデータセンターへの過剰投資も、この傾向を後押ししている。過剰な計算能力と電力の供給過多が発生し、マイニング用途に転用されていると、匿名を条件に語ったマイニング機器メーカーの関係者は指摘する。
このトレンドは、マイニング機器の販売実績にも顕著に表れている。世界第2位のマイニング機器メーカーであるカナンの資料によると、同社の総収益に占める中国市場の割合は、取り締まり直後の2022年には2.8%まで激減した。しかし2023年には30.3%へとV字回復を見せている。事情に詳しい関係筋によれば、2024年第2四半期にはその割合が50%を超えたという。
ビットコインは中国の規制を受けても復活する強い回復力があることが示された。中国市場の再参入はネットワーク強化につながり、投資家にとって追い風となる。一方で当局の不透明な姿勢は、今後も規制リスクとして価格変動を招く可能性がある。
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