2024年の仮想通貨詐欺被害、1.9兆円規模見込み|AI悪用で手口急拡大

JinaCoin編集部
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過去最大級の被害額更新か

ブロックチェーン分析企業「Chainalysis(チェイナリシス)」は13日、2024年の暗号資産(仮想通貨)詐欺による被害額が少なくとも99億ドル(約1.5兆円)に達したとするレポートを公開した。今後の調査で新たな詐欺アドレスが特定されれば、被害総額は最終的に124億ドル(約1.9兆円)を超え、過去最大級となる可能性がある。

仮想通貨詐欺の主流は「高利回り投資詐欺」と「豚屠殺詐欺」

2024年における仮想通貨の主要な手口は、「高利回り投資詐欺(HYIS)」と「豚の屠殺詐欺」だった。HYISは全体の50.2%、豚の屠殺詐欺は33.2%にのぼり、両者を合わせると全体の8割超を占める。

HYISと「豚の屠殺詐欺」の2つで全体の8割超を占める
「高利回り投資詐欺(HYIS)」と「豚の屠殺詐欺」の2つで全体の8割超を占める(出典:Chainalysis)

HYISとは、高利回りを約束して投資家を引き込み、実際には収益を出さずに資金を持ち逃げする詐欺の一種だ。従来から存在する手法だが、2024年はこの手口による被害額は減少した。一方で、豚の屠殺詐欺は前年比で約40%増加し、被害者の数も拡大している。

豚の屠殺詐欺の進化──「在宅勤務詐欺」や「短期詐欺」へのシフト

「豚の屠殺詐欺」とは、詐欺師が被害者と長期間かけて信頼関係を築き、まるで豚を食肉用に太らせてから解体するように、限界まで資金を搾り取った後に姿を消す手口だ。

これまでの手法では、詐欺師が数カ月から数年かけて被害者と信頼関係を構築し、大きな金額を騙し取ることが一般的だった。しかし、2024年には、より短期間で資金を詐取する「在宅勤務詐欺」などの新たな手口が登場している。在宅勤務詐欺は、リモートワークの仕事を装い、登録料や前払い金を請求するものだ。特に、新型コロナウイルスの影響でリモートワークが一般化したことにより、被害が拡大している。

生成AIを悪用した詐欺が急増

2021年から2024年にかけて、オンラインマーケットプレイス「Huione Guarantee(フイワン・ギャランティ)」 上のAI関連詐欺サービスの収益は年平均成長率1,900%を記録した。これは、詐欺を容易にするAI技術の急速な普及を示している。

フイワン・ギャランティは、詐欺グループが違法な取引や犯罪に悪用しているとされるオンラインマーケットプレイスで、詐欺に関わる技術やインフラが提供されている。AIを活用した詐欺手法の高度化により、偽の投資プラットフォームの構築や、被害者を信用させるための精巧なコンテンツの作成が進み、被害の拡大が懸念されている。

オンチェーン分析によれば、フイワン・ギャランティ上でAIソフトウェアを購入したアドレスが、わずか3日後には豚の屠殺詐欺の収益を受け取り、9日後には別の詐欺収益を獲得しているケースが確認された。これは、AIツールが詐欺のスピードを加速させている可能性を示唆している。

詐欺師の手口が高度化し続ける中、被害を未然に防ぐには利用者一人ひとりの警戒が欠かせない。加えて、規制当局や企業が迅速に対策を講じ、情報共有を強化することが求められる。安全な仮想通貨市場の実現には、業界全体の連携が不可欠だ。

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