米ナスダック上場企業「CEA Industries(CEAインダストリーズ)」は5日、暗号資産(仮想通貨)「BNB(ビルドアンドビルド)」による財務戦略推進のため、総額5億ドル(約738億円)の資金調達を完了したと発表した。この動きは、同社がBNBを中核とする財務運営モデルへの転換を図る中で重要な一歩となる。
BNB戦略に合わせ経営陣刷新、ティッカーを「BNC」に変更
ベンチャー企業「YZi Labs(ワイジーラボ)」が主導した今回の資金調達は、7月28日に発表されたPIPE(Private Investment in Public Equity:上場企業に対する私募投資)による普通株式の発行に基づいて実施されたものだ。CEAインダストリーズは5億ドルの内訳として、現金4億ドルと仮想通貨1億ドルの調達を発表内で明らかにしていた。
また、同社は今回の私募増資で発行されたワラント(新株予約権)の行使により、最大7億5,000万ドルの追加資金を得る可能性があることも明かしていた。この追加資金がBNB購入に充てられる場合、同社のBNB財務戦略のさらなる加速が見込まれる。28日にはこれらの発表を受け、同社株価は前日比548.85%もの急騰を見せた。

今回の資金調達では、「Pantera Capital(パンテラ・キャピタル)」や「G-20 Group(G-20グループ)」など、著名な機関投資家や個人投資家を含む140以上の投資家が参加。BNBを財務資産として据える挑戦的な企業戦略に対して、業界全体からの高い関心がうかがえる。
証券コード変更、BNBネットワークカンパニーとして再出発
CEAインダストリーズは資金調達完了と併せ、6日よりナスダックでの証券コードを従来の「VAPE」から「BNC」へ変更することを発表した。従来のニコチンベイプ事業を継続しつつも、今後は機関投資家や個人投資家へBNB Chain(BNBチェーン)エコシステムへの参加機会を提供する「BNBネットワークカンパニー」として再出発する方針だ。
証券コード変更に伴い、経営陣にも大きな変化が見られている。同社のCEOには、ナスダック上場企業「Galaxy Digital(ギャラクシーデジタル)」の共同創業者であるデビッド・ナムダー氏が就任。さらに投資会社「10X Capital(10Xキャピタル)」でCIOを務めるラッセル・リード氏が、CEAインダストリーズでもCIOに就任した。
ナムダー氏は、「BNCというティッカーは、BNBチェーンのエコシステムとの戦略的再連携と財務成長への明確な焦点を反映している」とコメント。加えて、今回の動きがより多くの機関投資家にとって、安心・安全にBNBへアクセスできる仕組みを作る第一歩であると述べている。
今回の資金調達と経営刷新により、CEAインダストリーズはBNBを財務資産とする新たな企業モデルへと大きく舵を切る形となった。同社の積極的なBNBへのコミットは、仮想通貨財務戦略を検討する企業にとって大きな指針となるだろう。これからの同社の新たな発表や市場への影響波及などに期待したい。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.68円)