オンチェーン分析大手グラスノードが15日に公表した週次レポートによると、ビットコインは史上最高値の12万6,100ドル到達後に急反転し、約190億ドル規模の先物デレバレッジングが発生した。同社はこれを「史上最大規模の一つ」と位置づけ、市場が構造的リセット局面に入ったと分析している。
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重要サポート帯を下回り上位買い手が損失圏に

グラスノードの分析では、ビットコイン価格が11万7,000ドル~11万4,000ドルのコストベース帯を下回ったことで、上位5%の供給量を保有する主要な買い手が損失圏に陥ったとしている。現在の価格は10万8,400ドル~11万7,100ドルの範囲内で推移している。
同社は「11万7,100ドルを上回る水準への価格回復を促す新たな触媒がなければ、市場はこの範囲の下限に向けたより深い調整のリスクを抱える」と警告。歴史的に、この価格帯を維持できない場合は中長期的な調整の前兆となることが多く、10万8,000ドルを持続的に下回ることは構造的な脆弱性の重要な警告シグナルとなるとしている。
ロングターム保有者の継続的な分散売りが上値抑制

長期保有者(LTH)の動向分析では、2025年7月以降の継続的な分散売りが確認されている。この期間中にLTH供給量は約30万BTC減少し、成熟した投資家による着実な利益確定が続いている状況が明らかになった。
グラスノードは「この継続的な売り圧力は需要枯渇のリスクを浮き彫りにしており、新たな需要流入に対応する分散売りが持続すれば、均衡が回復するまでに定期的な調整や局地的な降伏イベントが発生する可能性がある」と分析している。
ETF流入弱化で機関需要に陰り

機関投資家動向では、米国現物ETFの流入が著しく弱化している。今週の累積純流入は-2,300 BTCとマイナスに転じ、価格下落と歩調を合わせる形で機関投資家の買い圧力が低下した。
同社は「現在の状況はパニックではなく躊躇を示唆している。しかし、ETF流入の弱化が持続したり、強さが戻るまでの遅延が長期化すれば、ビットコインの過去の上昇を支えた主要ドライバーの一つを損なう需要サイドの脆弱性を示すことになる」と指摘している。
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史上最大級の先物市場清算イベント

先物市場では史上最大級の清算イベントが発生した。先物建玉の単日縮小は100億ドル以上に達し、2021年5月の清算や2022年のFTX破綻時に匹敵する規模となった。
推定レバレッジ比率(取引所残高に対する建玉比率)は数カ月ぶりの低水準まで急落し、システム全体で過剰なレバレッジが一掃された。グラスノードは「痛みを伴うものの、このような清算はシステミックリスクを軽減し、今後のより安定した市場構造の基盤を築く」と評価している。
ファンディングレートが2022年FTX水準まで急落

先物市場のストレスは、ファンディングレート(資金調達率)の急落にも表れている。無期限先物のファンディングレートは年率換算で一時的に大幅なマイナスに転じ、2022年後半のFTX破綻以来の水準まで低下した。
この現象について同社は「強気なレバレッジが一掃された後、トレーダーがショートポジション維持にプレミアムを支払う状況を示している。これは完全なセンチメント反転を表し、参加者が強制清算の中で急速にリスクを削減している」と分析している。
オプション市場でボラティリティ76%まで急上昇

オプション市場では、1週間のインプライドボラティリティが35%から76%まで急上昇し、2025年4月以降の最高水準を記録した。この急騰は典型的なボラティリティスクイーズの様相を呈し、短期ボラティリティショートポジションの強制カバーが発生した。
プット/コールボリューム比率は、ビットコインが12万1,700ドル付近で推移していた金曜日に1.0を上回り、1.41で終了、最高値は1.51近くまで達した。25デルタスキューは清算前の-1.3%から+17%まで急激に反転し、今年最も鋭い短期的な下落オプション再評価の一つとなった。
市場は構造的リセット局面、回復にはETF流入再開が鍵
グラスノードは総括として、マクロ経済的ストレスと極端なレバレッジが190億ドル規模のデリバティブ史上最大の清算イベントの一つを引き起こしたと分析。「市場は構造的リセット局面にあり、持続的なETF流入の再開とオンチェーン蓄積が信頼回復と持続可能な回復確認の鍵となる」と結論づけている。
オプション市場では建玉とボリュームが迅速に回復したものの、ボラティリティの急上昇と急激なスキュー反転により、トレーダーがヘッジに急いだ状況が確認されている。急速な安定化にもかかわらず、市場は依然としてリセット局面にあり、今後の展開が注目される。