中央集権型取引所で保有されるビットコインが10年以上ぶりの低水準に落ち込み、供給環境のひっ迫と長期保有者・機関投資家による継続的な蓄積を示唆している。価格が11万4,000ドル付近で横ばいが続く中、オンチェーンデータは表面下での構造的な強さを物語っている。
取引所保有量240万BTCまで減少、2020年比で大幅な流出継続
オンチェーン分析ツールCryptoQuantのデータによると、現在の取引所保有量は約240万BTCとなり、2020年の350万BTCから大幅に減少している。この下降トレンドはビットコイン史上最も長期かつ一貫した流出傾向の一つで、取引所で保有される通貨の減少は直接的な売り圧力の軽減を意味している。
オンチェーンデータによると、2013年から2018年にかけて中央集権型取引所の成長と新たな流動性の流入により保有量が急激に増加したが、2020年から減少が始まり、特に2022年以降は機関投資家の参入、ETF保管の拡大、長期保有者による蓄積と歩調を合わせて着実に減少している。
この流出パターンは、2020年と2021年の大規模な強気相場に先立って見られたものと同様の傾向を示している。オンチェーンの動きでは、コールドウォレットや機関投資家向けカストディへの一貫した引き出しが確認されている。
業界専門家は「取引に利用可能なBTCが縮小している。各流出の波は歴史的に大きな強気の衝動に先行してきた」と分析している。長期投資家やファンドが保有資産を取引所から移転し続けていることは、彼らの確信を示すシグナルとして解釈されている。
特に注目すべきは、ETFや規制対応プラットフォームなどのカストディ成長が長期保有トレンドを増幅していることだ。この供給収縮は2020年のセットアップと類似しており、次の拡大フェーズの基盤として機能する可能性が指摘されている。
短期的なボラティリティは継続する可能性があるものの、長期的な構造は分散ではなく蓄積を示している。ビットコインの取引所保有量が数年ぶりの最低水準に達したことで、進行中の供給側ショックが示唆されており、この供給収縮が次の価格上昇局面の土台となる可能性が高まっている。