CNNブラジルが2日に報じたところによると、ブラジル財務省は組織犯罪の資金源を断つため、暗号資産(仮想通貨)に関する規制を強化する方針を明らかにした。フェルナンド・アダジ財務相は「近日中」に新たな規制を公表するとしている。
ブラジルでは組織犯罪への対策として治安問題が活発に議論されており、政府は犯罪組織の「金融部門」を標的とした取り締まり強化に乗り出している。
透明性向上と課税ルールの明確化
アダジ財務相は、暗号資産を利用する組織犯罪に対抗する新規制について「資産の背後にいる個人に関する透明性の向上と、税務処理のより明確なルールを求めている」と説明した。
財務省はブラジル連邦歳入庁の再編も加速させており、2025年中に組織犯罪対策を専門とする部署を歳入庁内に設置する計画である。同省は全国に金融犯罪取締部門10カ所を配置する構想も持っている。
当初の計画は議会が暫定措置1303号を否決したことで遅れていた。同法案は金融資産への課税変更のほか、歳入庁の組織再編への道を開くものだった。現在、財務省は審議中の別の法案に関連条項を盛り込む方針である。
今回の措置は、歳入庁が実施してきた一連の規制改正に続くものとなる。同庁は今年上半期だけで、組織犯罪の資金源を断つために投資ファンド、フィンテック、燃料輸入などの規制を強化した。
財務省は「新しいデジタル経済は規制の適応を必要としており、ブラジルは『規制エコシステムの近代化』プロセスで他国より先を行っている」との立場を示している。
規制強化に加えて、財務省は議会に対し、故意に税を逃れて利益を得る企業への規制を強化する法案の承認を強く求めている。同法案は既に上院を通過し、下院で緊急審議中となっている。
アダジ財務相は州知事らに対し、組織犯罪との戦いは「資金提供者に到達しなければうまくいかない」と訴えている。「領土問題や逮捕状の執行に加えて、組織犯罪への資金供給を絞めなければ成功しない。資金供給と戦うことで上から攻めなければならない」と同相は述べた。
記者団との会見で、アダジ財務相はリオデジャネイロ州のクラウディオ・カストロ知事に対し、故意の滞納者に関する法案への支持を求めた。同相によると、知事の指示により同氏の政党と州の議員団の相当数が法案に反対票を投じたという。
「滞納者の背後には組織犯罪がある。党が今週したように故意の滞納者に反対票を投じないことが非常に重要である。リオの組織犯罪のかなりの部分が、この法律が抑制しようとする税務操作の背後に隠れている」とアダジ財務相は語った。
日本でも規制整備が加速
日本においても暗号資産の規制整備が進展している。金融庁は2025年、レンディング事業を金融商品取引法で規制する方向で検討を開始しており、虚偽記載には課徴金や罰則が導入される見通しである。
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また、暗号資産のインサイダー取引規制が2026年にも導入される方針で、金商法改正により課徴金や刑事告発が可能になる。さらに分散型取引所(DEX)への規制導入も議論されており、投資者保護と市場の健全化を目的とした包括的な規制体制の構築が進められている。
ブラジルが組織犯罪対策を重視するのに対し、日本は投資者保護の観点から規制を強化する姿勢を示している。
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