マイケル・セイラー、ビットコイン1兆ドル蓄積戦略を発表──デジタル・クレジット構想も

ヤマダケイスケ
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画像はBitcoin Magazine公式YouTubeより引用

米テック企業「Strategy(ストラテジー)」の共同創業者であるマイケル・セイラー氏は、1日に公開された暗号資産(仮想通貨)メディア「Bitcoin Magazine(ビットコイン・マガジン)」のインタビューで、自身が描くビットコイン財務戦略の最終目標について語った。同氏は「最終的には1兆ドル(約147兆円)規模のビットコインを蓄積する」との展望を示し、そのうえで新たな信用商品の発行を通じて金融システムを刷新する構想を明らかにした。

蓄積したビットコインを担保に、年間1,000億ドル規模の信用創出を目指す

セイラー氏はインタビューの中で、人類史における火や石油といった技術革新が生活水準を大きく引き上げた事例を引き合いに出し、ビットコインも「デジタル・エネルギー」として文明に統合される存在であると主張した。同氏はビットコインは時間や空間を超えて光速で価値を伝達できる仕組みであり、80億人の人々と数百万の組織に恩恵をもたらす「希望」だと語っている。

またセイラー氏は、現在180を超える企業がすでにビットコインを財務に組み込み始めていることに触れ、「これはデジタル・エネルギーが文明に統合される初期段階の兆候だ」と指摘。最終的にはすべての企業がビットコインを基盤にした財務戦略を採用するだろうとの大胆な見解を示した。

セイラー氏が描く最終目標の核心は、ビットコインを担保とした高利回り信用商品「デジタル・クレジット」の発行にある。具体的には、まず1兆ドル相当のビットコインを蓄積し、年間20〜30%のペースで成長させる。そのうえで、蓄積したビットコインを担保に年間1,000億ドル(約14.7兆円)規模のデジタル・クレジットを発行し、こちらも同様に成長させていくと説明した。

同氏によれば、デジタル・クレジットは不動産や法定通貨を担保とする既存の信用商品よりも、2〜4%高い利回りを提供できる可能性があるという。これにより、スイスのような低金利市場での金融抑圧が困難になると指摘。より高利回りな選択肢が投資家に開かれることで、金利水準全体が引き上げられる可能性があるとセイラー氏は語った。

さらにセイラー氏は株式市場への波及効果にも言及している。S&P500に名を連ねる企業が広くビットコインを保有すれば、指数自体がビットコインの成長要素を組み込むことになると強調。年間21%成長することが見込まれるビットコインにより、S&P全体の健全性向上や活性化に繋がるだろうとの見解を示した。

セイラー氏の構想は、ビットコインを単なる投資資産にとどめず、世界規模の信用創出の基盤とする壮大なビジョンとなっている。同氏が語る「デジタル・エネルギー」の未来像が実現するかは不透明だが、ビットコインを巡る金融改革はすでに始まっているといえるだろう。

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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.83円)

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仮想通貨やBCGをメインに執筆活動を行うWebライター。2021年、ビットコインの大幅な値上がりに興味を持ち、仮想通貨の世界に参入。Binance、Bybitをメインに現物取引やステーキングサービスを活用し、資産運用を進めている。
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