2027年までに6,000 BTC保有を目指す
カナダのテクノロジー企業「Matador Technologies(マタドールテクノロジーズ)」は23日、機関投資家である「ATW Partners(ATWパートナーズ)」との間で、最大1億ドルの融資枠契約を前日22日に締結したと正式に発表した。この巨額の資金は、ただ一つの目的、ビットコインの追加購入に「全額」が充当されるという。これは同社が事業の根幹に据える財務戦略の核心部分である。
同社が公表したロードマップは野心的である。まず2026年までに1,000 BTCを、そして2027年までには累計で6,000 BTCものビットコインを保有するという。そして、その先に見据えるのは、世界の企業におけるビットコイン保有量ランキングでトップ20入りを果たすというスゴイ目標である。今回の契約により、まずは初期段階として1,050万ドルの資金が手当てされる。
今回用いられるのは、「担保付きの転換社債」という資金調達のスキームだ。転換社債は、将来的に同社の株式に転換できる権利がついた社債のことで、本件では金利は年8%に設定されている。さらに、購入したビットコインそのものを担保とすることで、投資家側のリスクを低減させる構造が採用されている。このような柔軟な資金調達手法こそが、不確実性の高い市場で巧みに立ち回ろうとする同社のしたたかさを物語っているといえる。
同社のデヴェン・ソニCEOは、「今回の資金調達は、我々の長期的なビットコイン蓄積目標に向けた意義深い前進だ」と声明で述べている。なぜなら、上述の転換社債スキームは、既存株主の利益が薄まる、いわゆる「株式の希薄化」を最小限に抑えつつ、機動的にビットコインを買い増すことを可能にするからである。
最高ビジョン責任者(CVO)のマーク・モス氏もまた、「ビットコインは我々のビジネスモデルとバランスシートの中核であり続ける」と述べ、その決意の固さをにじませた。
マタドール社が暗号資産(仮想通貨)市場の闘牛士(マタドール)となれるのか。あるいは、その野心的な夢は壮大なバブルとともに散るのか。いずれにせよ、一企業の投機的な動きと切り捨てることはできない。同社の動向は、企業財務における仮想通貨の役割を占う上で、今後も大きな注目を集め続けるだろう。
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