ビットコイン財務戦略を進める「株式会社メタプラネット(Metaplanet)」(証券コード:3350)は22日、5,419 BTCを追加取得したと発表した。今回の購入総額は約936億4,600万円、取得単価は1 BTCあたり約1,728万円で、1回の取得量としては同社史上最大。これにより同社のビットコイン総保有量は25,555 BTCに達した。
世界5位の保有企業に浮上、しかし投資家の懸念は払拭されず
同社はこれまで数百〜1,000 BTC規模の取得が中心で、7月には2,205 BTCの大型取得も行っているが、今回の5,419 BTCはそれを大きく上回る過去最大規模となった。
今回の取得により、同社は公開企業のビットコイントレジャリー保有ランキングにおいて、暗号資産(仮想通貨)取引所「Bullish(ブリッシュ)」(24,300 BTC)を抜き、世界第5位に浮上することになる。
今回の購入は、9月9日に価格決定した海外公募増資(3億8,500万株、調達額約1,837億円)の資金を活用したもの。メタプラネット独自のKPI「BTCイールド」では、7月から9月22日までの四半期で10.3%を記録している。
株価は6月の高値1,900円から大幅に下落し、直近は500~600円前後と苦戦が続いていた。市場では「過去の銘柄」との厳しい声も出ていたが、同日朝にFTSE All-World Indexなど5つの主要インデックスに採用されたことを受け、一時650円まで急騰した。一般的に、こうしたインデックス採用はパッシブ資金の流入を通じて需給改善につながり、企業の存在感や投資対象としての信頼感を高める要因とされ、市場でも一時的に好感されたとみられる。
しかし正午に公表された今回の追加購入自体は株価押し上げ要因にはならず、その後は再び600円前後に落ち着いている。

今回の史上最大規模の購入とインデックス採用によって、メタプラネットのビットコイン財務戦略は一段と鮮明になり、世界5位の保有規模は「ビットコイントレジャリー企業」としての存在感を高める要因となった。ただし株価は依然として下落トレンドを抜け出せず、増資による希薄化や投資家心理の冷え込みが重荷となっている。次の課題は、こうした不安を和らげ、株主からの信頼を取り戻せるかどうかにあるだろう。
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