ネットワーク活動は1年半ぶりの低水準に
暗号資産(仮想通貨)のオンチェーンデータ分析プラットフォーム「CryptoQuant(クリプトクオント)」は10日、ビットコイン(BTC)のネットワークアクティビティや小口投資家による取引量が減少する一方で、保有構造の変化と先物市場の過熱が進行していると公式Xで報告した。同社は「これはすべてが始まる前の静寂かもしれない」とコメントし、複数のオンチェーン指標をもとに市場動向を分析している。
クリプトクオントによると、ビットコインのネットワークアクティビティは価格上昇にもかかわらず急激に落ち込んでおり、指標共有時点でのネットワークアクティビティ指数は約3,470と過去1年半で最も低い水準にあると指摘。これはビットコイン市場での取引参加者が減少し、ネットワーク利用が鈍化していることを示している。

さらに、小口投資家のオンチェーン動向を示す「Retail Investor」指標も-5%まで低下し、小口投資家のビットコインに対する関心が弱まりつつあることを指摘した。それに呼応するかのように中央集権型取引所(CEX)でのスポット取引量も大幅に減少。その取引量が2020年10月以来の最低水準に落ち込んでいることが示されている。クリプトクオントはこの状況を「ゴーストタウンのようだ」と表現している。
しかし、静寂の裏側では市場構造の変化が進んでいることをクリプトクオントは示唆している。同社は短期保有者と長期保有者などの供給量変化を示した指標を共有し、直近で約847,200 BTCが長期保有者の供給に追加されたことを強調した。こうした動きは2024年9〜10月にも見られた傾向であるとされている。

また、先物市場では取引が活発化しており、特にイーサリアム(ETH)がその牽引役となっているとクリプトクオントは語る。同社のダッシュボードによれば、イーサリアムの未決済建玉(オープンインタレスト)は執筆時点で約780万ETHに達し、過去最高を更新している。この大幅な記録更新は、市場が静かな中でもイーサリアムの先物市場に関する関心が高まっていることを示唆している。

ビットコインのオンチェーン指標からは投資家の動向や取引量の鈍化が見られるものの、売り圧力が顕著に高まっている兆候は今のところ確認されていない。また、長期保有者を中心とした保有姿勢が継続している可能性もある。クリプトクオントが指摘するとおり、市場の一時的な停滞は次なる動きの布石となる可能性が考えられるだろう。今後の投資家動向の変化やその影響を市場がどう受け止めるのかに注目が集まりそうだ。
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