ビットコインは12月22日、一時9万ドルを突破したが、その後強力な売り圧力にさらされて反落し、現在は8万8,000ドル付近を推移している。オンチェーンデータからは、ビットコイン市場の本格的な活性化に必要な条件が見えてきた。
ビットコインバブルを左右する、たった一つのマクロ指標
BTCデータ分析のSminston With氏は23日、「ビットコインのバブルは、マクロ経済の循環と深く結びついている」との見解をXに投稿した。
同氏が注目している指標はISM PMI(購買担当者景気指数)とビットコイン価格の関係だ。PMIは50未満で景気収縮、50超で景気拡張を示す代表的なマクロ指標である。分析によれば、PMIが50未満の局面では、ビットコイン価格が強い底値のサポートラインから2.5倍以上に拡大したことは一度もない。景気後退局面では、ビットコインバブルに明確な限界があるという。
さらに、回帰分析を実施した結果、PMI単独でビットコインの価格変動の26%を説明できることが判明した。決定係数R²は0.26、p値は1.2e-13とほぼゼロで、統計的に極めて有意な相関が確認された。暗号資産のように様々な要因で動く市場において、単一の経済指標がこれほど高い説明力をもつのは異例といえる。
これらの分析から、Sminston氏は「半減期サイクルはナンセンスだ。ビットコインバブルは経済が拡大する時に拡大する」と結論づけた。
ネットワーク手数料が2011年1月以来の低水準
投資データ分析プラットフォームのアルフラクタルは23日、公式Xにて「ビットコインの総取引手数料は、2011年1月以来の最低水準まで低下している」と指摘した。
最大の要因は、オンチェーン上で移動しているビットコインの量が激減し、取引活動が鈍化したことによる手数料収入の低下だ。実際、ビットコインの価格と手数料の動向を示すFee/Price比率が、足元では低水準で安定して推移している。
この状況は、少額取引でも重い負担なくネットワークを利用できる点で、ユーザーにとってはポジティブな流れといえる。しかし、マイナーにとっては非常に厳しい環境だ。マイニング報酬の重要な構成要素である手数料収入の低下は、セクターへのインセンティブを失わせ、保有ビットコインの売却圧力につながる可能性がある。
オンチェーン活動が回復しない限り、マイナー側の売却圧力が市場に影響を及ぼし続ける可能性が高い。
ビットコインはここ数週間で底堅さを見せているものの、上値の重い展開が継続している。現状を打破するためには、マクロ経済の後押しとネットワークの活性化が必須の条件といえるだろう。
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