ビットコインはショート優勢、イーサリアムは三尊形成──地政学リスクで上値重く

JinaCoin編集部
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米中摩擦の緩和期待で19日夕方から暗号資産(仮想通貨)全般が上昇傾向にあったが、20日夜に失速。現在はビットコインイーサリアム共に、重要な価格帯を守れるか、重要な局面に立たされている。

ビットコインは11万ドル台を維持 大局的には下目線継続

日本時間19日夕方から堅調な値動きを見せていたビットコインだが、過去に何度も抵抗されている11万2,000ドルのレジスタンス付近で売り圧が強まり反落。約2週間続いているダウントレンドラインの上限も近づいているため、上抜けするには大きな好材料が必要になるだろう。

ビットコイン1時間足チャート。黄色の下降トレンドラインと青のレジスタンスラインを示す。
出典:TradingView

11万ドルより上を維持したまま20日を終えていることから、上昇への期待感は継続。とはいえ、いつ下抜けてもおかしくない状況なので、決して楽観視はできない。

清算ヒートマップを見ても、11万2,000ドル付近に流動性クラスターが形成されており、この価格帯が意識されていると予測できる。また、11万4,000ドル台のクラスターはさらに規模を拡大。「大きな価格上昇は望めない」という投資家の感情を反映している。逆に、11万4,000ドル台を明確に上抜けた場合は、ショートの大規模な清算を巻き込んで急騰する展開も起こりうる。

ビットコイン清算ヒートマップ。11万2千〜11万4千ドル付近に流動性集中を示す。
出典:Coinglass

一方11万ドルを明確に下抜けた場合は、10万4,000ドル付近まで目立ったサポートも確認できないため、失望売りによる急落に要注意だ。

オンチェーンデータが買いシグナルを示唆

オンチェーンデータ分析プラットフォームであるクリプトクオントは21日、ビットコインのMVRV比率(時価総額対実現価値)が365日移動平均線を下回っていると指摘。同じ現象が発生した2021年半ば、2022年6月、そして2024年初頭には、その後大きな価格上昇を起こしていることから「歴史的に見て長期保有者が買い増しを始める局面に入っていることを示唆」しているとの分析を発信している。

イーサリアムとソラナは三尊を形成 短期的な弱気材料に

ビットコイン同様、19日夕方から堅調だったアルトコインだが、20日午後の直近高値から勢いは失速。特にイーサリアムとソラナはテクニカル上ネガティブとされる三尊(白線で描画)を形成しており、投資家の買い意欲低下につながっている。

イーサリアム1時間足チャート。三尊パターンを白線で描画し、下降トレンドラインを表示。
出典:TradingView

清算ヒートマップを見ても、三尊のネックライン付近(3,900ドル付近)に大規模な流動性クラスターが形成されていることから、この価格帯への意識の強さがうかがえる。ネックラインを下抜けした際は、ロングポジションの清算と新たなショートエントリーにより急落する可能性が高い。

イーサリアム清算ヒートマップ。3,900ドル付近に大規模な流動性クラスターを示す。
出典:Coinglass

ウクライナ・イスラエル情勢の懸念が市場の足枷

アメリカのドナルド・トランプ大統領と、中国の習近平国家主席による会談が31日に予定され、米中緊張が和らいだとの見方から、暗号資産市場は一時的に活気を取り戻したが、ウクライナやイスラエル情勢への懸念が足枷となり、さらなる上値を阻んでいる。

ウクライナは19日、ロシア南部の大規模なガス処理施設を攻撃。これを受けトランプ氏は「ロシアの侵攻を終わらせるためにはウクライナのドンバス地方を『分割』する必要がある」と発言し、ウクライナに圧力をかけた。またイスラエルは同じく19日、ガザ地区を爆撃し44人が死亡。1週間前に行われたばかりの停戦合意が揺らいだ。

これら複数の地政学リスクが重なった結果、米中摩擦緩和への期待が相殺され、市場の上昇モメンタムが失われたと考えられる。米政府閉鎖の長期化により好材料も乏しいため、今後も上値の重い展開が続きそうだ。

オンチェーンデータは買い局面を示唆しているものの、ファンダメンタルズやチャートの形状的に見ると、現状ではロングエントリーしにくい状況だ。期待されているトランプ氏と習近平氏の会談もまだ10日先であるため、現在は大きなトレードを控えるべき局面といえる。

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