ストラテジー、第2四半期決算で過去最高益を記録──ビットコイン財務戦略が業績をリード

ヤマダケイスケ
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画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

BTC利回りとゲインの達成を踏まえ、KPIを上方修正

米テクノロジー企業「Strategy(ストラテジー)」は7月31日、2025年会計年度の第2四半期における財務報告を発表した。同社の営業利益は約140.3億ドル(約2.1兆円)に達し、前年同期比で驚異の7,106.4%増を達成。純利益は100.2億ドル(約1.5兆円)、1株あたりの利益(EPS)は32.60ドル(約4,918円)となり、同社として過去最高のパフォーマンスを記録した。

この飛躍的な財務実績を実現した背景には、同社が採用するビットコイン(BTC)財務戦略がある。同社はこれまで継続的なビットコイン購入を実施してきており、その保有量は報告時点で628,791 BTCに到達。ビットコイン財務戦略を採用する企業としてトップを走っている。同社の財務戦略は暗号資産(仮想通貨)業界で度々注目の的になってきたが、第2四半期決算ではその戦略が明確に実を結んだ形だ。

第2四半期における同社の「BTC利回り」は19.7%に達し、年初来では25%に上昇。また、ビットコイン保有量の増加を測る「BTCゲイン」は同期で95億ドル(約1.4兆円)、年初来で132億ドル(約1.9兆円)とそれぞれの指標で通年目標を前倒しする形となった。この実績を受け、ストラテジーは通年目標をBTC利回り30%、BTCゲイン200億ドル(約3兆円)に引き上げている。

また、ストラテジーは年末のビットコイン価格を15万ドルと仮定した場合、2025年通期の営業利益が340億ドル(約5.1兆円)、純利益が240億ドル(約3.6兆円)、1株あたり利益が80ドル(約1万2,000円)に達するだろうとの予測を示した。ビットコインはすでに同社財務の中枢にあるため、今後の価格動向が企業業績に強く影響しやすい。この予測が今後実現するのかは、仮想通貨業界における重要な視点のひとつとなるだろう。

優先株式の発行・販売による最大42億ドルの資金調達を計画

ストラテジーは今後の強気な見通しを支えるため、さらなるビットコイン取得に向けた資金調達の動きを見せている。同社は財務報告の発表と同日、可変金利シリーズA永久ストレッチ優先株式(STRC株式)の発行・売却を通じて、最大42億ドル(約6,336億円)を調達する計画を発表した。

株式販売は市場の状況を踏まえた長期的な枠組みで行われる予定となっている。調達された資金は優先株主への配当支払いのほか、ビットコインの取得および運用に充てられるという。こうした戦略的な資金調達を加速させることでビットコイン保有量を今以上に拡大し、企業価値や株主価値の向上につなげようという狙いだろう。

今回の財務報告は、ストラテジーがビットコインへのコミットを通じていかに企業価値を高めたかを如実に示している。ただし、同社の財務はビットコイン価格と市場環境に大きく依存しているため、リスクと隣り合わせの大胆な経営判断とも捉えられかねない。今後の仮想通貨市場の行方とあわせて、同社の動向はグローバルな金融市場においても重要な注目点となりそうだ。

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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=150.87円)

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仮想通貨やBCGをメインに執筆活動を行うWebライター。2021年、ビットコインの大幅な値上がりに興味を持ち、仮想通貨の世界に参入。Binance、Bybitをメインに現物取引やステーキングサービスを活用し、資産運用を進めている。
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