ビットコインは日本時間21日夜、8万ドル割れを試したところで反発した。週末から24日にかけて8万7,000ドル超まで価格を伸ばしている。オンチェーン活動からは市場の健全化や大きなトレンド転換の接近を示唆するデータも確認されており、今週は今後の展開を占う上で非常に重要な局面となりそうだ。
長期保有者から機関投資家への世代交代が進行
オンチェーン分析企業クリプトクオントのアナリスト、ジョアン・ウェッドソン氏は24日、Xでビットコインの中長期的な展望について興味深い洞察を共有した。
市場の安定を支えてきた長期保有者(LTH)は、2024年3月以降これまでにない規模で保有ビットコインを売却し続けている。初期保有者(OGクジラ)から新規投資家層(財務企業・機関投資家など)へ資産が移動している点をウェッドソン氏は指摘した。この動きは市場構造が大きく変化していることを示す。
LTHと短期保有者(STH)の収益性を比較するSOPR指標を見ると、過去全てのサイクルでSTHの利益比率が大きく、近年はその傾向がより顕著だ。これはOGクジラの継続的な売却による保有量減少で、市場に対する影響力が低下していることを示している。
依然としてOGクジラの動向は注目すべきだが、保有者の世代交代が進むにつれ、パワーバランスはゆっくりと分散へ向かっている。ネットワークが成熟し新しい参加者が増えることで、ビットコインはより広く分散化された健全な資産へと進化しているとウェッドソン氏は締めくくった。
未決済建玉は2022年以来の低水準で市場健全化へ
クリプトクオントのアナリスト、ダークフォスト氏はXで「ビットコインのオープン・インタレスト(未決済建玉)が2022年の弱気相場以来の低水準に達している」と指摘した。
特に暗号資産取引所バイナンスでの落ち込みが顕著で、約130万BTC相当の縮小を確認した。これは弱気相場の最終局面にあった2022年末以来の水準であるため、今回の動きが市場全体の「大規模なリセット」である可能性を示唆している。歴史的に過度なレバレッジの解消や市場の沈静化は、底値形成と次の強気相場の準備に必要なプロセスとして機能してきた。
今回のサイクルにおける総未決済建玉は475億ドル(約7兆4,390億円)に到達し、極端なポジションの偏りが不安定な相場環境を生み出していた。過剰な投機熱は、流動性が変化した際に急激な調整を引き起こしやすく、現在の激しい下落局面はまさにその結果だとフォスト氏は見ている。
今回の大規模な清算によって市場は健全さを取り戻したため、マクロ環境次第で大きなトレンド転換の可能性も考えられる。
リスクオフ指数急低下──底固め初期フェーズへ
マーケット分析企業スイスブロックは24日、公式Xで「ビットコインが底値形成に向けた最初の一歩を踏み出した」との見解を投稿した。
一時は2024年以来の100に到達していたビットコイン・リスクオフ指数が61.14にまで急落し、売り圧の大幅な減少やパニック売りのピーク終了を示唆している。しかし本格的な底固めには、今後1週間で継続的な売り圧低下を確認する必要がある。再度下値を試した際の、直近安値圏での力強い反発は、信頼性の高い底固めのシグナルになり得るとスイスブロックは結論づけた。
暗号資産市場は依然として不安定な状況だが「総悲観ムード」からはひとまず脱却できたと考えてよさそうだ。今後1週間の動きが、年内そして2026年の展開を左右する重要な転機となる可能性があるため、引き続きオンチェーン活動やファンダメンタルズに注視していこう。
関連: ビットコイン30%急落が示す株式暴落の予兆──過去3回的中の『6〜8週間法則』が再び作動か
関連: ビットコイン一時8万3,000ドル台──調整6週目、底打ちシグナルと弱気指標が混在
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=156.61円)




