米ナスダック上場の暗号資産(仮想通貨)プラットフォーム「Bit Digital, Inc.(ビットデジタル)」は14日、2025年度第2四半期の決算を発表した。
純利益は黒字転換、ビットコインマイニング事業は段階的に終了へ
ビットデジタルは第2四半期中に、「資本の大半をETHの蓄積とステーキング利回りの生成に割り当てる」という戦略的転換を開始した。
この戦略に基づき、同社のETH保有量は急速に増加している。
- 2025年6月30日時点:30,663ETH
- 2025年8月11日時点:121,076ETH(約5億1,150万ドル/約753億円相当)
CEOであるサム・タバール氏は、「我々の目標は、公開市場で最大級のオンチェーンETHバランスシートを構築し、株主のために魅力的なステーキング利回りを生み出すことだ」とコメントし、今後もイーサリアムの保有戦略を継続していく意思を示した。
同社の第2四半期の財務ハイライトは以下の通りだ。
- 総収益:2,570万ドル(約38億円)、前年同期比11.7%減。これは、イーサリアム戦略への集中に伴うデジタル資産マイニング収益の減少が主な要因である。
- 純利益:1,490万ドル(約22億円)、1株あたり0.07ドル。前年同期の1,200万ドル(約18億円)の純損失から大幅な黒字転換を達成した。これには、2,720万ドル(約40億円)にのぼるデジタル資産の売却益などが含まれている。
ビットコインマイニング事業の終了と子会社IPO
イーサリアムへの集中戦略の一環として、同社は6月に、それまで主力としていたビットコインマイニング事業を段階的に終了する計画を発表した。今後は、マイニングで得られたビットコインも経費の支払いやETHへの転換に使用するとしている。
また、決算発表では高性能コンピューティング事業を手掛ける子会社「WhiteFiber(ホワイトファイバー)」の新規株式公開(IPO)を完了したことを報告。ビットデジタルはホワイトファイバー社の株式の約74.3%を保持しており、この保有株式は「我々がこの新しい方向性を追求する上で、さらなる財務力をもたらす」とタバール氏は説明した。
ビットコイントレジャリー企業が世界的に注目を浴びるなかで、イーサリアムへの投資に注力する同社の決算は市場から高い注目を集めている。同社の動向次第で、今後はイーサリアムトレジャリー企業を目指す企業も増えていくことになりそうだ。
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