米ゲーム開発支援企業「Beamable」、Sui財団の助成金でWeb3ゲーム開発を強化

木本 隆義
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画像はFreepikのライセンス許諾により使用

Web2開発者向け、Web3統合ツールの提供

米国のゲーム開発向けクラウドサービス企業「Beamable(ビーマブル)」は11日、 Sui(スイ)財団からの助成金を受け、Web3ゲーム開発を強化すると発表した。今回の資金提供により、NFT対応、ウォレット管理、トークンシステムの拡張など、Suiブロックチェーンの統合をさらに進める。

ビーマブルとSuiの連携を通じて、ゲーム開発者がブロックチェーン機能をより容易に統合できる環境が整う。ウォレット接続やトークン管理といった従来の複雑なプロセスが簡略化され、開発者はブロックチェーンの技術的な詳細を意識せずに活用できるようになる。特にUnity(ユニティ)やUnreal Engine(アンリアル・エンジン)向けのSDKが整備されることで、Web3機能の統合が容易になり、これまでWeb2ゲームを開発していた企業もスムーズに適応できる。このようなツールは、開発者にとって「神ツール」となり得る。

Suiは独自の「Move」言語とオブジェクト指向の仕組みを備え、アイテム管理やNFT発行を柔軟に扱える。これにより、ゲーム内のアイテムが動的に変化し、プレイヤーが直感的に所有権を持てる仕組みが実装しやすくなる。さらに、ビーマブルのアイデンティティ管理やインベントリ機能と連携することで、オンチェーンとオフチェーンのアイテムがシームレスに統合され、ユーザーは「ブロックチェーン上のアイテムを使っている」と意識しすぎることなく、「面白いアイテムがある」しかも「自分の所有権が明確」と感じられるユーザーエクスペリエンスが実現しそうだ。

大手ゲームエンジンがブロックチェーンと連携する流れが加速すれば、「自分たちも追随しなければ」と考える開発者や他のプラットフォーム提供者も増えるだろう。結果として、Web3の機能がゲームの世界へ広範に浸透する可能性が高まり、「Web2とWeb3の境界が実質的に薄れる」という見方も強まっている。ユーザーがウォレットを扱う手間やガス代の課題は依然として残るものの、開発側にとってはノウハウを蓄積しながらUXを改善しやすくなる好循環が期待される。

ビーマブルはこれまでもSolana(ソラナ)やPolygon(ポリゴン)、さらにはビットコイン(ライトニングネットワーク)など、さまざまなブロックチェーンへの対応を進めてきた。今回のSuiとの統合により、ビーマブルは新たなブロックチェーン技術を活用し、ゲーム開発の可能性を広げることを目指している。

助成金の活用によって開発ペースを加速し、先行者メリットを得る狙いも明確だ。もしこの取り組みが成功すれば、Web3ゲームの開発基盤として一翼を担うだけでなく、「新時代のゲーム開発プラットフォームの標準」を獲得するという野望実現の着実な一歩といえそうだ。

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フリーエコノミスト。仮想通貨歴は9年。Liskで大損、BTCで爆益。タイの古都スコータイで、海外進出のための市場調査・戦略立案・翻訳の会社を経営。1973年生。東海中高、慶大商卒、NUCB-MBA修了。主著『マウンティングの経済学』。来タイ12年。
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