分散型取引所(DEX)「Aster(アスター)」を巡り、宣伝であることを伏せた「ステルスマーケティング(ステマ)」が行われていたのではないかとの疑惑が浮上している。
報酬依頼を拒否したインフルエンサーが明かすプロモーションの実態
発端となったのは、海外の暗号資産(仮想通貨)インフルエンサー「Lynk(リンク)」氏によるSNS投稿だ。
同氏は、25万ドル(約3,700万円)の報酬でトークンを宣伝するよう提案を受けたことを明らかにした。その条件として、広告であることを伏せ、あたかも自分が本気で投資し、強気の姿勢を示すよう装うことが求められたという。リンク氏はこの提案を拒否したが、他の複数のKOL(キーオピニオンリーダー)は契約を受け入れたと述べている。
アスターは高レバレッジのパーペチュアル取引を特徴とする新興DEXで、リリース直後からSNSを中心に急速に注目を集めた。トークン「ASTER」は短期間で暴騰し、一時は新興プロジェクトの中でも突出した値動きを示した。しかし、その背景にはインフルエンサーによる集中的な宣伝投稿があり、価格上昇が実需ではなくマーケティングによって形成された「虚像」だった可能性がある。
アスター運営チームは本稿執筆時点で公式声明を発表しておらず、リンク氏の主張に対する反論や説明は出ていない。告発後、SNS上ではステマ疑惑に関する議論が広がり、事実関係の確認を求める声が相次いでいる。一方で、確たる証拠はまだ提示されておらず、真偽の判断には慎重さが求められる状況だ。
今回のようなステルスマーケティング疑惑は、仮想通貨業界の信頼を大きく損なう要因ののひとつである。透明性と信頼性を理念とするブロックチェーンの世界において、発信者の倫理が問われる局面となっている。。プロジェクト側は短期的な注目を得るために不透明なPRに頼るべきではなく、広告・宣伝の報酬の有無を明確に開示した上で投資家との信頼を築く姿勢が求められる。
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