TVLは約296億ドル、DeFiプロトコル中トップを維持
暗号資産(仮想通貨)のレンディングプロトコル「Aave(アーベ)」は14日、同プロトコルにおける純預入額が500億ドル(約7兆3,845億円)を突破したと発表した。創業者であるスタニ・クレチョフ氏は「純預金額500億ドルを達成した初のレンディングプロトコル」と公式Xで述べており、その達成の意義を強調している。
純預入額とは、預け入れられた担保資産から借入資産を差し引いた「プロトコルに実質的に預けられている資産量」を指す。アーべは10日にも、純預入額が450億ドル(約6兆6,460億円)を突破したことを発表したばかりだった。この短期間で50億ドル規模の急増を見せたことで、アーベの市場からの信頼と需要の高さが再確認された形だ。
純預入額増大の動きの背景には、仮想通貨市場の回復基調やDeFi(分散型金融)に対する関心の高まりだけでなく、アーベが伝統的な金融機関やテクノロジー企業のインフラとしても採用されつつあるという実績もある。クレチョフ氏は公式X上で、「従来の金融領域からの採用事例が増えている」と述べており、アーベの成長がDeFiの枠を超えて広がっていることを強調した。
なお、DeFiアグリゲーターである「DeFiLlama(ディファイラマ)」によれば、現在アーベのTVL(Total Value Locked=プロトコル上にロックされた総資産額)は約296.6億ドル(約4兆3,804億円)を記録。これはレンディング部門のみならず、リキッドステーキングやDEX(分散型取引所)などを含むDeFi全体でもトップに位置する数字となっている。こうした圧倒的な存在感からも、アーベは今やDeFi市場に不可欠なプロトコルのひとつと言えるだろう。

アーベの独自トークン「AAVE」も、こうしたプロトコルの成長と連動する形で上昇傾向にある。記事執筆時点では約308ドルで推移しており、2024年12月に記録した直近最高値である400ドル付近の再到達が視野に入りつつある。今後の価格は市場動向ももちろんだが、アーベの機能拡充や技術革新のペースに強く左右されると見られる。

アーベがDeFi領域にとどまらず、より広範な金融エコシステムに浸透しつつある現状は、同プロトコルの持続的成長と信頼性を裏付けるものだ。今回の純預入額500億ドルの達成は単なる数字の節目ではなく、DeFiインフラとしてのアーベの地位を改めて印象付ける重要なマイルストーンになったと言えるだろう。
関連:イーサリアムL2「インク財団」、新トークン「INK」発表──Aave基盤のDeFiで活用へ
関連:Aave、ソニー発L2「Soneium」で稼働開始──一般向けDeFi展開を強化
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.69円)