化粧品・健康食品事業を展開する株式会社フォーシーズHD(東証スタンダード:3726)は11日、取締役会において暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)への投資事業とWeb3.0技術を活用した新事業の開始を決議したと発表した。従来の美容・健康分野に加え、デジタル資産と次世代インターネット技術への本格参入により、新たな成長戦略を描く。
ビットコイン投資で財務基盤強化、段階的な運用方針
フォーシーズHDは「仮想通貨への投資事業」として主にビットコインを保有する方針を明らかにした。同社は「ビットコインはデジタル資産としての信頼性が高まりつつあり、長期的な資産保全手段としての活用が進んでいる」と投資背景を説明している。
運用方針では適切なリスク管理体制のもと、外部アドバイザーと連携しながら段階的に実施し、収益性と安全性のバランスを保った中長期的な企業価値向上を目指すとしている。
Web3.0技術で既存事業をデジタル変革
同時発表されたWeb3.0事業では、ブロックチェーン技術を基盤とした分散型システムを既存事業に統合する。従来のWeb2.0ではプラットフォーム事業者にデータが集中していたが、Web3.0ではユーザーがデータを分散管理でき、個人情報保護やプライバシー向上が期待される。
具体的活用は3つの柱で構成される。「個人データの所有と管理」では、顧客が自身のパーソナルヘルスレコード(PHR)や嗜好データを安全に管理し、腸内細菌叢検査「fulfulflora」シリーズや「DENBA Sleep」などでパーソナライズされた製品提案を可能にする。
「透明性と信頼性の向上」では、ブロックチェーン技術により製品の原料調達や製造過程、成分情報を透明に記録・公開し、消費者の信頼獲得を目指す。
再生可能エネルギー事業にもAI・Web3.0技術を導入
第三の柱として、昨年5月から参入している再生可能エネルギー事業への活用も計画。AIを含めたWeb3.0技術で太陽光エネルギー事業や系統用蓄電池事業を効率化し、市場優位性の高い物件取得を可能にする。
「再生可能エネルギー事業における負担金予測システムの共同開発・運用」を進めており、7月後半から8月にシステム完成予定。土地取得の精緻な見積もりや効率的運営が可能になるとしている。
企業のデジタル資産戦略が新トレンドに
フォーシーズHDの発表は、国内上場企業におけるビットコイン投資とWeb3.0技術導入の同時進行という珍しい事例となる。近年、メタプラネット、マックハウス、リミックスポイントなど国内企業のビットコイン投資が相次いでおり、デジタル資産を活用した財務戦略が新たなトレンドとして定着しつつある。
Web3.0技術の本格導入により既存事業のデジタル変革を図る動きも注目されており、フォーシーズHDの取り組みは両分野の融合を目指す先進的な事例として業界の注目を集めそうだ。
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