ドナルド・トランプ米大統領が関与する分散型金融(DeFi)プラットフォーム「World Liberty Financial(WLFI)」が発行する「WLFIトークン」が1日、「Binance(バイナンス)」を含む主要な暗号資産(仮想通貨)取引所での取引が開始された。
トークン制限解除、市場流通が本格化
WLFIのガバナンス機能を担うWLFIトークンは当初、譲渡・売買不可能という一般的なトークンとは異なる特性を持っていた。だが、2025年7月にトークン譲渡と取引を可能にするコミュニティ提案が行われ、取引可能な仮想通貨へと移行。今回の上場により、正式に市場での流通が始まった形だ。
ローンチ時の初期流通供給量は約246.7億枚に設定されている。内訳は「WLFIエコシステム」向けに約100億枚、提携企業へ約77.8億枚、流動性およびマーケティングに約28.8億枚、パブリックセールに約40億枚が割り当てられた形だ。このほか財務やチーム報酬といった非流通のWLFIトークン配分も存在しており、これらは段階的なロック解除が予定されている。
プレセール参加者の売却動向、市場心理に影響か?
WLFIトークンの上場は注目の的となったが、市場では強い売り圧力への警戒感が高まっている。ブロックチェーンセキュリティ企業「Lookonchain(ルックオンチェーン)」は、プレセール参加者が次々に数千万ドル規模のトークンをバイナンスへ送金していると公式Xで報告した。
仮想通貨取引所への送金はつまり、トークン売却の可能性を示唆する。すでにトークンが売却された可能性が高いと見られるが、この大規模な売り圧がさらに投資家の売りを呼び込む可能性も考慮しておくべきだろう。
執筆現在のWLFIトークン価格は、0.2443ドルと横ばいの推移を続けている。ローンチ直後には1ドルまで急騰しているものの、やはり売り抜けによる下方向への圧力が強く、以降も上昇のきっかけを掴めていない状況だ。

新たなコミュニティ提案、トークン価値の下支えになるか?
一方、プロジェクト側は価格の下支えに向けた施策を打ち出している。WLFIは2日、プロトコルが得る手数料を全額トークンの買い戻しとバーン(焼却)に充てる新たなガバナンス提案を発表した。
この提案によって同社は、「WLFIの将来に賛同しない人々からトークンを取り除き、長期保有者に報いる」との方針を掲げている。仮に提案が承認されれば、需給改善と市場価値向上につながる可能性があるが、投資家心理をどこまで回復できるかが課題となりそうだ。
鮮烈なデビューを飾ったWLFIトークンだが、市場は今後の売り圧力と運営側の価格安定策の行方を注視している。現在のこう着状態を脱却して価格高騰につなげられるのか、今後のWLFIトークンの価格動向に目が離せない。
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