22日にサンフランシスコで発生した17億円相当の暗号資産(仮想通貨)盗難事件において、被害にあった邸宅がChatGPTの開発をおこなう米国のAI企業「OpenAI(オープンエーアイ)」のCEOであるサム・アルトマン氏の元交際相手として知られる起業家ラチー・グルーム氏宅であることが25日のニューヨークポストの報道で明らかになった。
被害者は元交際相手の同居人、暴力的な犯行手口に警戒感が強まる
捜査関係者によると、犯行は単純な窃盗ではなく、高度に計画された組織犯罪の可能性が高いという。犯人は宅配業者を装い、署名を求めながらペンを借りる口実で室内へ侵入。銃を武器にグルーム氏の同居人であるジョシュア氏をダクトテープで拘束した後、同氏に対して拷問・暴行などが行われた。また、電話をスピーカーホンにさせ、外国語を話す何者かがジョシュア氏の個人情報を次々と読み上げるという状況が作り出されていたという。
犯人はおよそ90分をかけて、ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)をジョシュア氏のデジタルウォレットから抜き取った。これら暗号資産と合わせ、同氏の携帯やノートパソコンなども持ち去られたことが明らかになっている。警察が到着した際、ジョシュア氏は打撲を負っていたものの、命に別状はなかったという。
邸宅所有者のグルーム氏は、アルトマン氏が2024年に結婚する前に交際していた元恋人であり、過去には共同で投資を行うなど、テック界の重要人物として知られている。グルーム氏の自宅があるミッション地区は、マーク・ザッカーバーグ氏の旧邸宅エリアも近く、テクノロジー業界のエリートが暮らす高級住宅地だ。被害にあった邸宅は、アルトマン氏の兄弟から2021年に180万ドル(現在価格:約2.8億円)で購入したものだという。
今回の一件は、暗号資産を狙う犯罪がオンチェーン上だけでなく、現実世界での暴力的な手段によって実行されるという脅威を示している。特に素性の知れた著名投資家に至っては、デジタルとリアルの両面において、これまで以上に厳重な防犯・警備対策を講じる必要に迫られている。
関連:仮想通貨投資家から17億円強奪──宅配装い侵入、米国で犯罪多発
関連:韓国トップモデル、YouTubeハッキングでXRP偽ライブ配信被害──チャンネル削除を嘆く
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=155.7円)




