Talos、Coin Metricsを1億ドル超で買収──“業界初”の統合型プラットフォーム構築へ

ヤマダケイスケ
10 Min Read

取引と分析を集約、機関投資家のサポート強化

機関投資家向けに暗号資産(仮想通貨)取引インフラを提供する「Talos(タロス)」は16日、オンチェーンデータ分析企業「Coin Metrics(コインメトリクス)」を買収したと発表した。同社はこれまでも仮想通貨関連企業の買収を続けてきており、関係者によれば、今回の買収額は1億ドル(約148億円)を超えるとされている。

コインメトリクスは、仮想通貨に関する精度の高いオンチェーンデータや市場分析ツールを機関投資家に提供してきた業界有数のデータプロバイダーだ。今回の買収により、タロスはコインメトリクスが持つ膨大な市場データやオンチェーン分析の知見を自社の取引・ポートフォリオ管理プラットフォームに統合することとなる。これにより同社は今後、業界初となる統合データおよび投資管理プラットフォームを構築する意向を示している。

新たに構築されるプラットフォームでは、機関投資家による取引実行やポートフォリオ管理、市場分析といった一連の行動を単一のインフラ上で行えるようになる見込みだ。分断されていた取引インフラと分析基盤の統合が実現すれば、より柔軟かつ効率的な投資戦略の構築が期待される。新たに市場参入する機関投資家にとっても、この統合型プラットフォームは魅力的な選択肢となるだろう。

タロスはコインメトリクスを取り込むことで、両社を利用する機関投資家に対し、高度なポートフォリオ分析や洗練されたリスク管理等の相乗効果を得られるようになると主張している。同社は機関投資家がデジタル資産を取引・管理するうえで「データ」が重要になると強調しているが、コインメトリクスが持つ強みを活かすことで、単なる取引インフラにとどまらない、補完的なサービス展開も視野に入れているようだ。

タロスCEO兼共同創業者のアントン・カッツ氏は、「コインメトリクスとの統合は、両社のクライアントに向けた完全なワンストップソリューションを実現する」とコメント。取引から市場データ分析まで、すべての段階で機関投資家が自社に期待を寄せていると述べたうえで、新規プラットフォームによる機関投資家のサポート強化への意気込みを語った。

今回の買収は、仮想通貨業界が機関投資家のニーズに応えるべく進化し続けていることを象徴する動きだ。特にタロスが目指す「統合型プラットフォーム」の構築は、今後の業界標準を形づくる可能性がある。同社とコインメトリクスのタッグが市場にどのような影響をもたらすか、これからの動向に注目していきたい。

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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=148.36円)

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仮想通貨やBCGをメインに執筆活動を行うWebライター。2021年、ビットコインの大幅な値上がりに興味を持ち、仮想通貨の世界に参入。Binance、Bybitをメインに現物取引やステーキングサービスを活用し、資産運用を進めている。
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