米証券取引委員会(SEC)のポール・アトキンス委員長は4日、「2025年春季統一規制・規制緩和行動アジェンダ」の発表に伴い声明を発表した。新アジェンダには23の規則制定項目が含まれ、暗号資産(仮想通貨)の規制枠組み明確化と資本形成促進に向けた規制緩和を重点項目として掲げ、SECの方針転換を鮮明に示している。
来年4月に仮想通貨規則提案を予定
最も注目される項目は、「暗号資産(Crypto Assets)」規則(RIN:3235-AN38)で、暗号資産の提供・販売に関する規則提案を2026年4月に予定している。この規則は「経済的に重要」かつ「主要」な規則として位置づけられ、特定の適用免除やセーフハーバー条項を含む可能性がある。暗号資産の規制枠組みを明確化し、市場により大きな確実性を提供することを目的としている。
さらに「暗号市場構造改正(Crypto Market Structure Amendments)」規則(RIN:3235-AN49)も同時期に提案予定で、代替取引システム(ATS)や全国証券取引所での暗号資産取引を考慮した証券取引法規則の改正を検討している。これにより、暗号資産取引の制度的基盤が整備されることになる。
規制緩和分野では、新興成長企業への配慮強化、棚卸登録の近代化、適用免除提供経路の更新、開示慣行の合理化、株主提案の近代化など、資本形成促進に向けた包括的な改革が計画されている。これらの措置により、コンプライアンス負担の軽減と資本調達経路の簡素化が図られる。
アトキンス委員長は「SECにとって新たな日の始まり」と表現し、前政権下の多数の項目を撤回したことを明らかにした。新アジェンダは「スマートで効果的かつ適切に調整された規制」を目指し、法的権限の範囲内でイノベーション支援、資本形成、市場効率性、投資家保護に焦点を当てている。
今回の発表は、長年にわたり規制の不透明さに苦しんできた暗号資産業界にとって転換点となる可能性が高く、2026年4月の規則提案公表が業界で注目される。
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