東証スタンダード上場の「株式会社メタプラネット」(証券コード:3350)の時価総額が14日、同社が保有するビットコイン評価額を初めて下回った。

株価下落とmNAV低下から想定される今後の展開は?
同社が公表するデータによれば、時価総額をビットコイン純資産(Bitcoin NAV)で割った指標「mNAV(Market to Bitcoin Net Asset Value multiple)」が14日に初めて1を割り、0.99まで低下した。15日も0.97と回復しておらず、企業価値が保有するビットコインの評価額を下回る状態が続いている。15日時点のデータでは、時価総額が約34億9,000万ドル、ビットコイン純資産が約34億8,000万ドルとなっている。
株価は6月19日に付けた史上最高値1,930円をピークに下落基調が続いており、背景には第3四半期(7〜9月)の大規模な株式発行による希薄化があるとみられる。10月に入ってからは下げが加速し、執筆時点では前日比4.12%安の462円前後で推移している。

同社は今月9日に資本金を約2,474億円減らし、1円とする公告を行っている。形式的には累積損失を整理する会計処理だが、発表時期の近さから、市場心理に影響を与えた可能性も考えられる。
mNAVが1を下回る状況を受け、SNS上では「過度な割安水準」との見方も出ている。この状況を好機と捉え、投資家のピーター・デュアン氏は「現在の株価で同社に投資しないのは、ビットコインの暴落に賭けるようなものだ」と投稿し、現在の株価が絶好の買い場であるとの見方を示した。さらに、投資家エンドレ・ストールスヴィック氏は「Strategy(ストラテジー)が全株式交換で買収してもおかしくない」と述べ、市場の過小評価を指摘した。
mNAVが1を割り込んだ状態が続けば、今後の展開としていくつかのシナリオが想定される。
ひとつは、ビットコイン価格の上昇によりmNAVが自然回復するケースだ。ビットコイン価格が大きく上昇すれば同社の純資産額も増え、理論上は1を再び上回る可能性がある。ただし、株式発行による希薄化が続けば、改善効果は限定的になる可能性が高いだろう。
もうひとつは、買収や再編の可能性である。mNAVが1を下回るということは、保有ビットコインを市場価格より割安に取得できることを意味するため、国内外の投資会社やビットコイン関連企業による買収提案が浮上するかもしれない。
さらに、経営側が戦略を見直し、新規のビットコイン購入を抑えて株主価値の維持を優先する可能性もある。9月末時点で発行済株式数は前年同期比でおよそ6倍に増加しており、信認を維持するには希薄化抑制など資本政策の見直しが課題となる。ただし、同社は2026年末に10万BTC、2027年末に21万BTCの保有を目標としており、戦略を見直した場合には目標の達成が難しくなるおそれもある。
mNAVの低下により、同社は資本政策や「ビットコイン財務戦略」の持続性が問われる局面を迎えている。サイモン・ゲロヴィッチ代表は現時点でコメントを出しておらず、今後の経営判断が注目される。
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