イーサリアムのレイヤー2ブロックチェーンのMegaETH(メガイーサ)は28日、先日実施した「Pre-Deposit Bridge」で発生した一連の技術的な問題や運営の不手際を認め、集められた資金を全額ユーザーに返還することを発表した。
入金枠を巡り度重なるミス、「受け入れがたいユーザー体験」を謝罪
今回トラブルとなった「Pre-Deposit Bridge」は、メガイーサのメインネットの立ち上げに先立ち、ユーザーがイーサリアム・メインネット上のUSDCを預け入れることで、メインネット稼働時に同額の「USDm」を受け取れるようにする仕組みだ。
USDmはメガイーサ経済圏における基軸となるステーブルコインであり、運営チームはこのブリッジを通じて担保資産を事前に確保し、「メインネット稼働時におけるUSDCとUSDmの完全な1:1交換を保証する」ことを目的としていた。
事の発端は、11月25日に開始予定だったPre-Deposit Bridgeのローンチ時の混乱にある。メガイーサによると、開始直後に設定ミスやAPIのレート制限設定ミスによりダウンタイムが発生し、ユーザーが資金を預け入れられない状態となった。
そしてシステム復旧後、当初設定されていた2.5億ドルの入金枠は、リフレッシュを繰り返していた一部のユーザーによって即座に埋まってしまったという。
さらに混乱に拍車をかけたのが、その後の枠拡大時のミスだ。運営チームは公平性を確保するため、枠を10億ドルへ拡大することを決定したが、マルチシグウォレットの仕様に対する理解不足により、予定時刻より約30分早く枠が開放されてしまうミスが発生した。
この結果、公式発表を待機していたユーザーが参加できないまま、追加された枠も急速に埋まっていく事態となった。最終的に、公平性を欠く状態であると判断され、5億ドル時点で預入は停止された。
メガイーサは28日の公式声明で、「実行は杜撰(ずさん)であった」と責任を認めたうえで、Pre-Deposit Bridgeで集めたすべての資金を返金すると発表。今回の一連のトラブルは「受け入れがたいユーザー体験だった」と謝罪している。
返金プロセスには新しいスマートコントラクトが必要であり、現在はその監査を進めている段階だという。監査が完了次第、速やかに返金手続きが開始される予定だ。
なお、メガイーサは今回の発表と同時に、メインネットのローンチ前に、改めてUSDCとUSDmの変換ブリッジをオープンする意向を示している。
同プロジェクトは、イーサリアム共同創設者のヴィタリック・ブテリン氏らが支援する高性能レイヤー2ブロックチェーンであり、高い注目を集めている。一連のミスによって具体的な損失が生じたわけではないものの、今後の信頼回復が急務となるだろう。
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