米国の大手証券取引所「インターコンチネンタル取引所(以下ICE)」は7日、分散型予測市場プラットフォーム「Polymarket(ポリマーケット)」への戦略的投資を発表した。出資額は最大20億ドル(約3,000億円)にのぼり、ポリマーケットの出資前評価額は約80億ドル(約1.2兆円)とされる。両社は今後、予測市場データの活用やトークン化技術の分野で協業を進める計画だ。
予測市場データの配信やトークン化技術の開発で協業
ICEは、ニューヨーク証券取引所(NYSE)を傘下に持つ金融インフラの老舗企業であり、その歴史は1792年にまで遡る。一方、ポリマーケットは予測市場プラットフォームで、スマートコントラクトを通じてユーザーが政治や経済、スポーツなどのイベント結果を取引できる仕組みを提供している。
ポリマーケットのデータは、ユーザーの予測に基づく確率情報を数値化したもので、投資家の市場心理やトレンドを把握する新たな指標として注目されている。ICEはこの提携を通じてポリマーケットの「イベント駆動型データ」の世界的な配信パートナーとなり、顧客に対して市場関連トピックに関するセンチメント指標を提供する予定である。これにより、予測市場由来のデータが従来の金融分析やリスク評価の一部として活用される可能性がある。
また、両社は将来的なトークン化技術の共同開発にも合意している。ブロックチェーンを活用した金融商品の発行や取引インフラの構築において、ICEの信頼性とポリマーケットの革新性が結びつくことで、新しい市場構造が生まれることが期待される。
今回の出資は、伝統的金融機関と分散型市場の融合を加速させる象徴的な事例である。ICEのような大手インフラ企業が予測市場に参入することで、データの信頼性や市場アクセスの拡大が進む一方、予測市場やトークン化に関する規制整備は依然として途上にある。制度面の整備が進めば、Web3時代における「情報の資産化モデル」がより明確な形で定着していくことになるだろう。
関連:分散型予測市場「Polymarket(ポリマーケット)」の使い方
関連:ポリマーケット、チェーンリンクと提携で予測市場の精度向上──改ざん耐性データで数百万ユーザーに信頼性提供
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=150.8円)