米ナスダック上場企業「ETHZilla(イーサジラ)」は27日、保有する約4,000万ドル(約60億円)相当のイーサリアム(ETH)を売却し、その収益を活用して自社株買いを実施する計画を明らかにした。
すでに約60万株を買い戻し、残りの収益も自社株買いに充当
今回の動きの背景には、イーサジラの株価がNAV(純資産価値)に対して大幅な割引価格で取引されている現状がある。同社は自社株買いによって株式の市場供給を減らすことで、一株あたりのNAVを増加させる狙いだ。同社CEOのマクアンドリュー・ルディシル氏は、「イーサリアムの売却で調達した現金を活用した自社株買いは、即座に利益をもたらすと見込んでいる」と資本効率の改善に期待を示した。
イーサジラは10月24日のイーサリアム売却以降、すでに約60万株を総額約1,200万ドル(約18億円)で買い戻しており、今回の売却による残りの資金もすべて自社株買いに充当するとしている。同社は、株価のNAVに対する割安状態が是正されるまで、イーサリアムの追加売却と自社株買いを並行して進めていく予定だという。
なお、イーサジラは今回のイーサリアム売却後も、依然として102,916 ETH(約4億ドル、約600億円)をバランスシート上に保有している状況だ。これらのイーサリアムは、今後の戦略的イニシアチブを支えるために活用していくとしている。
イーサジラは9月、リキッドステーキングプロトコル「EtherFi(イーサファイ)」へ1億ドル相当のイーサリアムを預け入れる計画を公表。資産の一部をDeFi(分散型金融)運用に活用する方針を示している。今回の自社株買いとの並行施策により、同社はイーサリアムと株式の双方を活用した柔軟な資本運用戦略を展開していくとみられる。
イーサジラの取り組みは、暗号資産(仮想通貨)を活用した企業財務の新しい形を象徴している。イーサリアムを流動的な資本市場戦略の資源として活用する同社の動きは、他の暗号資産関連企業にも影響を与える可能性があるだろう。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=152.4円、1 ETH=4,101.22ドル)




