ナスダック上場のバイオテクノロジー企業「Enlivex(エンライベックス)」は24日、約2億1,200万ドル(約332億円)の私募増資を発表し、その収益の一部を分散型予測市場「Rain Protocol(レインプロトコル)」の独自トークン「RAIN」による財務準備資産に充てることを明らかにした。
レイン財団との提携、約1,437億円相当のRAIN年間取得オプションを獲得
エンライベックスが強調するRAINの特徴は、そのトークンエコノミクスがレインプロトコルの成長と直接的に結びついている点だ。レインプロトコルは市場の取引量の5%を手数料として徴収し、そのうち2.5%(取引量全体の2.5%)を使ってRAINの買い戻しと焼却(バーン)を自動的に実施する。この仕組みにより、同プロトコルはトークン供給量の減少と希少性を両立させる強力なサイクルを生み出している。
レインプロトコルの成長がRAINの価値向上に繋がり、財務資産として採用するエンライベックスにも直接的な恩恵をもたらすという構図だ。同社はこの経済サイクルに乗ることで、株主価値を最大化することを目指す。また、同社はRAINを保有するだけでなく、積極的なステーキングを通じて利回りを得る姿勢も明らかにしている。
エンライベックス公式サイトによると、同社はすでに約757億RAIN(約5.9億ドル・約924億円)を保有しており、1株当たりのRAIN保有量は320.47RAINとなっている。なお、同社は「Rain Foundation(レイン財団)」との提携を通じ、平均RAIN価格0.0033ドルで、最大9億1800万ドル(約1,437億円)のRAINを1年間で取得できる独占的なオプションを獲得しているという。
株式市場はこの新戦略に反応し、同社株は同日一時1.80ドルを超える勢いを見せた。執筆時点では1.02ドルにまで戻されたものの、前日比13.74%高で取引を終えている。

新たな財務戦略を実行する一方、エンライベックスはバイオテクノロジー企業としての本業も継続。変形性関節症の治療薬「Allocetra(アロセトラ)」の後期臨床開発にも私募増資の収益を投じるとしている。本業と並行して進めていく同社の予測市場トークンによる財務戦略が、今後の企業成長にどう影響していくのかに注目していきたい。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=156.6円)




