暗号資産(仮想通貨)運用企業コインシェアーズは30日、週次レポート(Vol.279)を公開し、デジタル資産投資商品が5週間ぶりに資金流出を記録したことを明らかにした。同社によると、流出総額は4億1,400万ドル(約660億円)に上るという。
総運用資産は20兆円規模へ、トランプ関税初期フェーズ並みの水準まで後退
今回の流出背景には、イラン情勢の長期化への懸念とインフレ圧力の高まりがあるとコインシェアーズは指摘する。6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)をめぐる金利期待は、それまでの利下げ見通しから一転して利上げ期待へとシフトし、投資家心理を大きく冷やしたと説明している。
これにより、同社の総運用資産(AuM)は1,290億ドル(約20.6兆円)に低下し、2月上旬以来の水準に後退。ドナルド・トランプ米大統領の関税政策が市場を揺さぶった2025年4月の初期フェーズと概ね同水準まで押し戻される形になったと強調している。
地域別に見ると、流出の大半は米国に集中。4億4,500万ドル(約710億円)の流出が記録された。スイスでも400万ドル(約6.4億円)の軽微な流出が確認されている。
一方で、ドイツとカナダの投資家は価格下落を好機と捉え、それぞれ2,120万ドル(約33億円)、1,590万ドル(約25.4億円)の流入を記録。弱気が広がる市場の中でも、逆張りの動きが一部地域で見られる形となった。
ETHが年初来純流出で主要銘柄中ワースト、BTCはプラス維持で底堅さを示す
銘柄別では、イーサリアム(ETH)
ETHが最大の打撃を受けた。週間の流出額は2億2,200万ドル(約354億円)に達し、年初来の純流出は2億7,300万ドル(約436億円)と、主要デジタル資産の中で最悪の水準に沈んだ。
この大幅な資金流出の背景には、米国のクラリティ法案に関連する動向が影響した可能性があるとコインシェアーズは指摘している。その他銘柄の週間における流入・流出状況については以下のとおりだ。
- ビットコイン(BTC)
BTC:1億9,400万ドル(約310億円)の流出 - ソラナ(SOL)
SOL:1,230万ドル(約19.6億円)の流出 - XRP(リップル)
XRP:1,580万ドル(約25.2億円)の流入
ビットコインは週間での流出を記録したものの、年初来では9億6,400万ドル(約1,540億円)の純流入を維持している。一方、ショート・ビットコイン商品には400万ドル(約6.4億円)の流入があり、価格下落を見込む動きが一部で生じていたという。
暗号資産市場は厳しい環境の中でも、一部地域や銘柄では着実な買い意欲が確認された形となった。今後はイラン情勢の落ち着きとFOMCをめぐる動向が、市場回復を左右するポイントになりそうだ。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=159.9円)
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