仮想通貨市場は日本時間5日から6日早朝にかけて小幅上昇。ビットコインは10万ドル付近に控えているサポート帯の強さが示された。今後は各銘柄において、意識されているレジスタンスを試す展開が見込まれる。
ビットコイン、ショートカバーが上昇を主導
ビットコインは一時10万ドルを下回った直後に反転し、日本時間6日午前4時頃、10万4,500ドル付近まで回復した。

5日22時15分に発表されたADP雇用統計は、前月比で4.2万人増加し、市場予想(2.8万人増)を上回った。また同日24時に発表されたISM非製造業景況指数は、52.4となり、市場予想の50.8や前回の50.0を上回る8か月ぶりの高水準に達した。
これらの結果は12月追加利下げ期待にはつながらなかったものの、米国経済の底堅さが好感され株価が上昇。リスクオンの流れとショート勢の利確が、ビットコインの小幅上昇を後押ししたとみられる。
ただ、値動きにトレンドを変えるほどの勢いはなく、意識される価格帯での戻り売りには引き続き警戒が必要だ。

清算ヒートマップを見ると、10万5,000ドル付近に流動性が散在、11万2,000ドル付近には大きなクラスターが確認できる。これらの価格帯は今後レジスタンスとして意識される可能性が高い。
まずは10万5,000ドルのレジスタンスを明確に突破することが、短期的センチメント改善の第一歩となるだろう。ただ、直近まで強力なサポートとして機能していた10万6,000ドル付近が現在はレジスタンス転換している可能性が高く、ここを上抜けるまでは油断は禁物だ。
また10万ドル付近に中規模の流動性が確認できるものの、そこから下は板が薄いため、下方ブレイク後の急落には要注意だ。
アルトコインは戻り売り警戒の中、ポジティブなニュースも
主要アルトコインはおおむね直近安値から10%以上の上昇と、ビットコインに比べ強い反発を見せた。

イーサリアムは直近で価格を支えていた3,700ドル付近に迫り、レジスタンス転換を試す展開。しかしこの価格付近では当然ロング勢の利確、ショート勢の戻り売り、高値掴みホルダーの利確売りなどが重なりやすくなるため、ストレートに上抜けするには相当大きな好材料が必要になるだろう。
一方で、ポジティブなニュースも。
Ripple(リップル)社がマスターカード、ウェブバンク、ジェミナイと提携し、 RLUSD決済をXRP Ledger上で実現することを発表。 業界内では「XRP Ledgerの実需拡大とWeb3決済インフラ強化につながる」として注目を集めている。
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ビットコインドミナンスには天井を示唆する動きも見えるため、今後のファンダメンタルズ次第ではアルトコインへの資金回帰も期待できるだろう。
ビットコイン・ブル指数が5年ぶりにゼロに到達
オンチェーン分析企業クリプトクオントが6日、今後のビットコインに対する見解をXに投稿。
ステーブルコインの流動性、オンチェーン活動量など複数の指標から割り出される「ビットコイン・ブル指数」が「2020年以来のゼロを記録」したことを受け、現在の相場状況が「弱気相場の初期段階」である可能性を示した。
この状況を改善するためには、ETFへの資金再流入、長期保有者の買い戻し、ステーブルコイン流動性の拡大など複数の要因が必要になるとクリプトクオント社は指摘している。
材料に乏しい相場環境——ヘッドラインによる乱高下に注意
本来であれば本日、米・新規失業保険申請件数が発表される予定だったが、米政府閉鎖の影響で延期される見通し。他には特に目立ったイベントが予定されていないため、今後の値動きを予測するのは非常に難しい局面だ。
材料が乏しい相場環境では、ドナルド・トランプ米大統領など要人発言一つで相場が大きく動く可能性もある。今後もマクロ経済動向とヘッドラインニュースの影響には細心の注意が必要だ。
ビットコイン・主要アルトコインともにやや反発の兆しは見せているものの、まだまだ強気再開には程遠い状況。オンチェーンデータも弱気相場の初期状態を示しており、市場心理の転換には大きな好材料が必要となるだろう。
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