米証券取引委員会(SEC)のポール・アトキンス委員長は23日、米国におけるデジタル資産市場の発展を後押しする新たな枠組みとして、「イノベーション免除」を年内にも導入する方針を明らかにした。これは同氏が米メディア「FOX Business(フォックス・ビジネス)」のインタビューで語ったもので、今後数カ月以内に規則制定が進められる見通しとなっている。
場当たり的な対応から一般的な上場基準の整備へ
アトキンス委員長は、最近相次いで承認された暗号資産(仮想通貨)を含むETF(上場投資信託)を引き合いに出し、デジタル資産を巡る規制の新たな方向性を示した。これまで新規上場の審査は場当たり的に進められることが多く、市場参加者に不確実性を与えてきたと指摘。そのうえで、今後は「一般的な上場基準」を整備し、企業が新製品を市場に投入するための安定したプラットフォームを提供していくとの考えを強調した。
新たな規制の在り方として注目される「イノベーション免除」は、仮想通貨関連のプロジェクトが既存の規制に縛られることなく、新製品を素早く市場展開するための措置となっている。この導入により、市場のさらなる信頼性向上はもちろん、米国市場を避けてきた企業が安心して事業展開できる環境が整う見込みだ。
アトキンス委員長はインタビューに対し、「多くのことが進行中です。そして、米国がイノベーションでリードできるよう、国内でこの業界を確固たるものにする。その機会に私は本当に興奮しています」と述べ、仮想通貨を含むデジタル資産市場の将来へ強い期待をにじませた。
また、アトキンス委員長は401k(確定拠出年金)などを通じて、一般投資家が非公開企業やビットコイン(BTC)に投資できるようアクセスを拡大していく方針も示した。これらの動きを通じて、「IPO(新規株式公開)を再び素晴らしいものにする」と強調し、米国資本市場の革新に対する意気込みを語った。
SECが明らかにした新たな方針は、デジタル資産業界の健全な成長を積極的に支援するという大きな転換を意味している。今後数カ月以内に予定されている規則制定が、米国経済や世界のデジタル市場にどのような影響を与えるのか、その動向に注目していきたい。
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