金融庁が、銀行によるビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)の投資目的での取得・保有を可能にする制度改正の検討を開始すると19日、読売新聞が報じた。近く開かれる金融審議会(首相の諮問機関)の作業部会で議論する。
現行の監督指針は、暗号資産の価格変動リスクが大きく、急落時に銀行の財務内容が悪化する可能性があることから、2020年に銀行グループによる投資目的での暗号資産取得を事実上禁止している。
財務健全性確保へ一定の規制も検討
金融庁は暗号資産の取得・保有を認める場合でも、銀行の財務内容への影響を考慮し一定の規制を設ける方針。作業部会では暗号資産のリスク管理体制整備などが議論される見通しだ。
また、暗号資産の売買や交換サービス提供に必要な「暗号資産交換業者」の登録を、銀行グループが行えるようにすることも検討。信用度が高い銀行グループの参入を可能にし、個人投資家が投資を行いやすい環境を整える狙いがある。
さらに、金融庁は暗号資産市場の健全化に向けて複数の施策を並行して進めている。日本経済新聞が15日に報じたところによれば、金融庁は暗号資産のインサイダー取引を禁じる法規制の検討も本格化しており、2026年の通常国会への金商法改正案提出を目指している。投資家保護と市場透明性確保を主眼とする包括的な制度整備が進められている形だ。
金融庁などによると、暗号資産の国内口座開設数は2025年2月末時点で1,200万口座を超え、5年前と比べて約3.5倍に増加。投資目的で売買・保有する個人投資家が大幅に増加している現状を受け、市場環境の整備が急務となっている。