クラウドフレアで大規模障害──ビットメックスやChatGPTなど世界規模で接続不良

伊藤 将史
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画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
Highlights
  • 障害は11月18日21時頃に発生し、クラウドフレア経由の多数サービスで接続エラーや遅延が発生
  • 影響はビットメックスやChatGPT、X、Zoomなど幅広い主要サービスに拡大
  • 原因はボット対策機能の潜在的バグで、18日23時30分頃に復旧と説明

米CDN大手クラウドフレアで18日、大規模なシステム障害が発生し、世界中のインターネットサービスに影響が及んだ。

19日には復旧するも、中央集権化のリスクあらわに

障害が発生したのは11月18日の21時頃(日本時間)。クラウドフレアのネットワークを利用する数多くのウェブサイトやアプリで、接続エラーや遅延が発生した。

影響を受けた主なサービスは以下の通り広範囲に及ぶ。

  • 暗号資産(仮想通貨)関連:ビットメックスなどの主要取引所
  • SNS・通信:X、Discord、Microsoft Teams、Zoomなど
  • その他:ChatGPT、Spotify、Canva、Visaなど

クラウドフレアは、ウェブサイトのセキュリティ強化や表示速度の高速化を提供するCDN(コンテンツ・デリバリー・ネットワーク)サービスの大手プロバイダーだ。

同社は世界中の多くのウェブサイトとユーザーの間で「緩衝役」として機能し、DDoS攻撃(過剰なアクセスによる攻撃)からの防御や、グローバルに配置されたサーバーによるコンテンツ配信を担っている。今回の障害は、世界のインターネットインフラがいかに少数のプラットフォームに依存しているかという「中央集権化のリスク」を改めて浮き彫りにした形だ。

原因と復旧状況

クラウドフレアのデーン・クネヒトCTO(最高技術責任者)は19日未明、Xへの投稿で障害の原因と復旧について説明した。

クネヒト氏によると、原因は「ボット対策機能を支えるサービス内の潜在的なバグ」だという。同社が行ったルーチンの設定変更がトリガーとなり、サービスがクラッシュしたと説明し、「サイバー攻撃ではなかった」と明言している。

そのうえで、日本時間18日23:30頃には「ネットワークを通過するトラフィックへの影響は解消された」と発表した。

クネヒト氏は「顧客とインターネット全体に対し、期待を裏切ったことをお詫びする」と謝罪し、「数時間以内に障害の詳細と再発防止策を報告予定である」とした。

今回の障害により、「非中央集権」を理念として掲げている暗号資産・Web3業界ですらも、ユーザーがサービスにアクセスするためのフロントエンドやAPIの多くは、クラウドフレアのような特定の「中央集権的」なWeb2インフラに依存していることが改めて露呈した。このような単一障害点のリスクを回避するため、インフラレベルでの分散化の必要性や、複数のプロバイダーを併用する冗長化の議論が再燃する可能性がある。

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2017年の仮想通貨ブームの頃に興味を持ち、以降Web3分野の記事の執筆をし続けているライター。特にブロックチェーンゲームとNFTに熱中しており、日々新たなプロダクトのリサーチに勤しんでいる。自著『GameFiの教科書』。
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