カナリー・キャピタル、ステーキング対応型Sei現物ETFを米SECに申請

木本 隆義
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画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ステーキング対応を想定した新型ETF

デジタル資産特化型の投資会社「Canary Capital(カナリー・キャピタル)」は4月30日、米国証券取引委員会(SEC)にステーキング対応のSei(セイ)現物ETFを申請した。

ETFといえば、もともとは伝統的な金融商品としてのイメージが強く、通常は現物や先物を保有するだけのしくみだ。しかし今回はSeiトークンをステークし、利回りまで狙う構造を取り入れている。これは暗号資産(仮想通貨)と伝統金融が交わる上で、ちょっとした歴史の分岐点となるかもしれない。

Seiは「トレード特化型」を標榜する高速ブロックチェーンで、ブロック生成からファイナリティに至るまでの速度が約600ミリ秒とされる。イーサリアムソラナの利点を組み合わせたEVM互換の並列処理設計が特徴で、2023年のメインネット立ち上げ以降、ウォレット数が1,800万を超えたと報告されている。機関投資家が「将来有望」と興味を示すのも当然だろう。

今回のETFの目玉は、ステーキング対応である点だ。ETFという伝統的な枠組みに、仮想通貨ならではの「追加リワード」が発生するしくみを組み込む意義は大きい。単にトークンを現物で保有するのではなく、ネットワークに貢献しながら報酬を得る——これはまさに「金融の常識を塗り替える」挑戦だといえる。もしSECが承認すれば、「規制当局のお墨付き」に近い形で大型資金がSeiに流れ込む可能性がある。

しかもSeiは今後「Gigaアップグレード」なる計画によって、処理性能をさらに向上させる予定だという。こうした大胆な取り組みが、伝統金融の世界からも注目を集める要因であることは間違いない。

今回の動きが伝統金融と仮想通貨の垣根を下げる一歩になる可能性は十分にある。市場の盛り上がりには常に新たなアイデアやライバルが必要であり、そのエネルギーを生むのが資本主義の強みだ。もしSECがゴーサインを出した場合、いよいよ「仮想通貨×伝統金融」の新時代が本格的に開幕するかもしれないし、たとえ今回はそうならなくても、じきに次のペンギンが現れるだろう。Web3の未来がより明るくなる展開を期待している。

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フリーエコノミスト。仮想通貨歴は9年。Liskで大損、BTCで爆益。タイの古都スコータイで、海外進出のための市場調査・戦略立案・翻訳の会社を経営。1973年生。東海中高、慶大商卒、NUCB-MBA修了。主著『マウンティングの経済学』。来タイ12年。
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