公共課題解決に挑戦、仮想通貨業界の信頼向上へ
米カリフォルニア州のギャビン・ニューサム州知事は15日、行政機能の改革を目指す「カリフォルニア・ブレイクスルー・プロジェクト」の立ち上げを発表した。同プロジェクトでは、「Coinbase(コインベース)」や「Ripple(リップル)」、「Instacart(インスタカート)」「Snap Inc.(スナップ)」「Scopely(スコープリー)」などの主要テクノロジー企業と州政府が連携。AIやブロックチェーンといった先端技術を活用し、行政サービスの効率化や課題解決を図ることを目的としている。
すでに6月6日に第1回会合がリップル本社(サンフランシスコ)で開催。会合には「AME Cloud Ventures(AMEクラウドベンチャーズ)」や「Anduril(アンドゥリル)」などのテクノロジー企業、さらに仮想通貨決済インフラの「MoonPay(ムーンペイ)」といった業界最前線で活躍する企業のリーダーに加え、ロン・コンウェイ(SV Angel創設者)、クリス・ラーセン(リップル会長)、ジェフ・ローソン(Twilio共同創設者・元CEO)、ジェイソン・ウィーラー(Tesla元CFO)らも参加した。各社が持つ技術力と知識を結集し、公的サービスの非効率性の特定や業務プロセスの改善、市民へのサービス向上など、多面的な課題に取り組む予定だ。
ニューサム州知事は今回のプロジェクト発足にあたり、「現代テクノロジーの発祥地として、我が州は最高の頭脳を集め、改革を推進する独自の立場にある」と強調。テクノロジーの進化を恐れるのではなく、むしろ積極的に受け入れることで、行政をより柔軟かつ応答性の高い組織へと変革していく意向を示した。
この発表にあわせて、ニューサム州知事は行政の透明性と効率性向上を図る新たな執行命令にも署名。この命令には、州民が自由に政策アイデアを提案できるデジタルプラットフォーム「Engaged California(エンゲージド・カリフォルニア)」の提供、州職員による特定チームで州全体の課題解決に挑む「イノベーション・フェローシップ・プログラム」の創設などが盛り込まれており、市民を巻き込んだ行政改革の仕組みづくりを進めていく予定だ。
今回注目すべきは、これまで規制当局との対立が目立っていた仮想通貨関連企業が、本プロジェクトを通じて行政と連携し始めた点だ。コインベースやリップルといったプレイヤーが州政府と共に公共課題の解決に取り組むことで、業界全体の信頼性や政策形成への影響力が高まる可能性がある。カリフォルニア州のこの取り組みは、仮想通貨業界にとっても制度的地位の確立に向けた大きな前進となり得るだろう。
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