米暗号資産インフラ企業BitGo Holdings(ビットゴー)は19日、証券取引委員会(SEC)にS-1(株式公開登録届出書)を提出し、ニューヨーク証券取引所(NYSE)への上場準備を開始した。ティッカーシンボルは「BTGO」で予定している。
機関投資家向けデジタル資産インフラの総合企業
ビットゴーは2013年創業のデジタル資産インフラ企業で、主に機関投資家向けにカストディ(保管)、ウォレット、流動性管理、ステーキング等のサービスを提供。2025年6月末時点で約903億ドル(1,300億円)の管理資産、100カ国超で4,600以上の顧客基盤を持つ。
同社の事業は4層構造で展開
- セルフカストディウォレット:独自のマルチシグ・MPC技術による自己保管ソリューション
- 適格保管サービス:米州信託法準拠の冷蔵庫保管、最大2.5億ドルの保険付き
- 流動性・プライム:ステーキング、レンディング、担保管理、取引サービス
- インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス(laaS):ステーブルコイン発行・管理、トークン管理等
デュアルクラス構造でCEOが支配的地位維持
IPO後はクラスA(1株1票)とクラスB(1株15票)のデュアルクラス構造を採用。共同創業者でCEO・CTO・社長を兼任するマイケル・ベルシェ氏がクラス B株式の大部分を保有し、議決権の過半数を支配する見込み。
この構造により、同社はNYSEの「コントロールドカンパニー」規則の適用を受け、取締役会の独立性要件等の一部免除が可能となる。現時点でこれらの免除を利用する予定はないとしている。
IPO目的は事業拡大と市場アクセス確保
S-1によると、IPOの主目的は
- 追加資本調達と財務柔軟性向上
- 公開市場へのアクセス確保
- 競争力強化と市場認知度向上
- 既存株主の流動性確保
- 製品開発、M&A資金への活用
調達資金の一部はRSU決済に関わる税務負担に充当し、残りは事業開発、設備投資、将来の買収・投資機会に活用する計画だ。
発行価格等は未確定、ゴールドマンサックス等が主幹事
今回のS-1は予備的なもので、発行価格や調達額等の具体的数値は未記載。主幹事はゴールドマンサックス、シティグループ、ドイツ銀行、みずほ、ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズ等が担当する。
同社の主要株主にはレッドポイント・ベンチャーズ、バロー・エクイティ・パートナーズ、クラフト・ベンチャーズ、ブリッジスケール・パートナーズ等の有力ベンチャーキャピタルが名を連ねている。
2025年6月末時点で約1,400種類のデジタル資産をサポートし、50以上の米国・海外規制当局の監督下にあるBitGoの上場は、暗号資産業界のさらなる制度化を象徴する動きとして注目される。
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価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.961円)