ビットコイン終焉のカウントダウン開始か──量子コンピューターが「不可能な逆算」を可能にする日

ヤマダケイスケ
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暗号資産(仮想通貨)分析企業「Coin Metrics(コインメトリクス)」の共同創業者ニック・カーター氏は20日、自身のエッセイで「量子コンピューターがビットコイン(BTC)の暗号基盤を根底から脅かす可能性がある」と警鐘を鳴らした。同氏は、量子計算技術の発展が既存の金融システムや多様なブロックチェーンに影響を及ぼす可能性を指摘しつつも、特にビットコインに対しては「手に負えない問題」になると警告している。

ビットコインの一方向性、量子計算によって崩壊の危機か?

ビットコインの安全性は、その暗号技術における「一方向性」に支えられている。これは秘密鍵から公開鍵の計算が「ダブル・アンド・アッド」というアルゴリズムによって容易である一方、公開鍵から秘密鍵の逆算は現行技術では事実上不可能とされる非対称性に基づくものだ。

ビットコインの署名や取引の根幹を支えるこの非対称暗号構造は、「楕円曲線離散対数問題(ECDLP)」と呼ばれる数学的課題に依存している。現状、この問題を解くには天文学的な施工回数が必要であり、既存のスーパーコンピューターでも現実的な時間では到底解けないという。

しかし、カーター氏はこの「鉄壁の前提」が量子コンピューターの登場によって崩壊しかねないと指摘する。量子コンピューターは「ショアのアルゴリズム」と呼ばれる手法を用いることで、これまで不可能とされてきた公開鍵から秘密鍵の逆算を圧倒的短時間で実行できるという。この技術が実用化すれば、ビットコインの暗号的な防壁が崩壊し、公開鍵が知られているウォレットの秘密鍵が瞬時に解読される危険性が考えられる。

こうした事態が現実になれば、攻撃者は解読した秘密鍵を用いて不正な署名を作成し、正規の所有者に無断で資産を移動させることが可能となる。ビットコインは設計上、取引が改ざん不可能であることを前提に信頼を築いてきたが、その根拠が量子コンピューターによって揺らぐとなれば、暗号資産(仮想通貨)市場全体の信頼構造にも深刻な影響を及ぼすかもしれない。

カーター氏はこの脅威はもはや理論上の懸念ではなく、将来的に現実化するリスクとして真剣に受け止めるべきだと訴えている。量子コンピューターの進化が止められない以上、ビットコインは量子耐性を備えた新たな暗号技術へ移行を迫られている。

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仮想通貨やBCGをメインに執筆活動を行うWebライター。2021年、ビットコインの大幅な値上がりに興味を持ち、仮想通貨の世界に参入。Binance、Bybitをメインに現物取引やステーキングサービスを活用し、資産運用を進めている。
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