ビットコイン・主要アルトともに今週は終始弱気な値動き。金曜日の朝から小幅に反発しているものの、材料不足感は否めず、上値は引き続き重い。一方で、オンチェーンデータからは底打ちの兆しも確認されている。
ビットコインは月足陰線確定──重要ライン上抜けがテーマ
今週ビットコインは月曜日に上昇を見せ、一時11万6,000ドルを突破したものの、同日夕方から値動きが反転。

水曜日には意識されていた11万2,000ドルを明確に下抜け、投資家心理が一気に悪化した。その後、金曜早朝に直近安値をブレイクし10万6,000ドル付近まで下落。米ハイテク企業2社の好決算を受けてやや反発したものの、材料不足により上値は限定的となった。
下落要因としては、FRB議長ジェローム・パウエル氏による「12月の利下げは確定ではない」とのタカ派発言や、米ハイテク企業の一部が市場予想を下回る決算を発表したことなどが挙げられる。
さらに、大手仮想通貨取引所「Bybit(バイビット)」が日本人の新規登録を停止した件や、日本の金融庁が「暗号通貨ETFは望ましくない」と表明したことなども市場の冷え込みにつながっている。
そんな中日本時間11月1日午前9時に10月の月足陰線が確定。
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歴史的に高いパフォーマンスを見せている10月が陰線に終わったことで、投資家心理のさらなる冷え込みが懸念される。相場のムードが回復するためには、意識されている11万2,000ドルの上抜け、そして高値圏での価格維持が必要だ。
イーサリアムも一時直近安値割れ──XRPはやや底堅い
主要アルトコインもビットコイン同様、今週は終始軟調な地合い。

イーサリアムは、約1か月にわたり強く意識されている3,700ドル付近のサポートを死守したものの、反発の勢いに乏しく、いつまた下値を試してきてもおかしくない状況。ソラナもほぼ同様に推移している。
XRPも週初めは高値圏でレンジを組んでいたが、下抜けすると一気に下落の勢いが加速し直近安値に迫った。

しかし、2.4ドル付近から反発したことでかろうじて下値を切り上げており、イーサリアムやビットコインに比べてやや底堅い印象だ。
悲観ムードの中、ポジティブなオンチェーンデータも
市場に冷え切った空気が漂う中、オンチェーンデータからはポジティブな側面もうかがえる。
オンチェーン分析企業「CryptoQuant(クリプトクオント)」社は、世界最大の仮想通貨取引所「Binance(バイナンス)」において、トレーダーの平均スポット購入価格がここ数か月で最大の約196万ドル(約3億170万円)を記録したと指摘。
このデータは弱気相場の中で静かにビットコインを蓄積する大口投資家の動きを示しているとの分析がなされた。
また、オンチェーン分析企業「glassnode(グラスノード)」社のアナリスト、クリス・ビーミッシュ氏は、ビットコインの「恐怖&強欲指数」が30を下回った点を指摘。
これが底値への到達を意味しており「現在の弱気な値動きは投機筋による市場操作の可能性がある」との見解を示した。
このように、オンチェーンデータからは今後市場が回復する兆しも確認できる。
来週は連日雇用関連データ発表予定──OPECの内容にも注目
来週は米ADP雇用統計(5日)、前週分新規失業保険申請件数(6日)、10月非農業部門雇用者数変化を含む統計(7日)と、雇用に関する重要指標の発表を連日予定している。
雇用の深刻な悪化が見られれば、12月追加利下げへの期待が再燃し、市場心理が転換する可能性もある。ただ、米政府閉鎖の終わりが依然として見えないため、今回も予定通り発表されるかどうかは不透明だ。
また、2日にはOPECの閣僚会合が予定されている。原油の生産方針について議論されるが、増産になれば原油価格安→インフレ抑制、金利低下につながりリスク市場にとっての追い風となるだろう。一方減産となれば、インフレへの懸念が高まり、市場心理の低下につながる。
来週も特に大きな材料がない限り、相場の弱気ムードは継続しそうだ。一方、目線が下に傾いている時ほどポジティブなニュースの影響力も高まり、急騰につながる可能性もある。マクロ経済の動向や各国の政策発表には、引き続き細心の注意を払っていく必要があるだろう。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=153.95円)




